「ね。好きなんだけど、付き合う?」
南美に告白したのはそれからすぐだったと思う。そしたら南美顔真っ赤にして頷いたから、ヤッちゃった。詳しく聞くと、どうやら南美も俺が気になってたらしい。それ聞いたらもう無我夢中。噛み付く様に抱き合ってしまった。いや、俺が一方的に噛み付いたのかも。
南美は保健室のシーツを裸で握り締め、「最近の子は手が早い」と嘆いていた。んなの知るか。
その次の日、「昨日の出来事は夢じゃないか」と急に焦って20分も早く家を出た。誰も居ない校庭をかけぬけ、校舎に入る。すると靴箱に南美が俺を待っていた。
「先生?」
こちらに気付いたのかふわりと微笑んで、「昨日の夢じゃないよね」と泣きそうな顔で言った。
「…夢、じゃないから」
「よかった」
俺と同じ気持ちとか笑えた。
「南美」
「ん?」
「可愛いね」
だから誰も居ない廊下でキスした。
出会いから一ヶ月も経ってないが、暇さえあればイチャイチャしたい。ベタベタ触りてえ。
「中田くん?」
まあ、人目とかあるから実際には出来ないんだけど。他の野郎に俺と居るときのこんな可愛い南美の姿も見せたくないし。
可愛いと言えば、この間も…。
「なーかーたくんってば!」
「え?」
「なにー?なんかニヤニヤしちゃって気持ち悪いよ。はやく練習戻ったら?」
「お、おう」
いつのまにトリップしてたのか、我に返ると訝しげこちらを見る南美と目が合った。俺、顔に出てたのか。カッコ悪。苦笑しつつベタベタと顔を触った。
さて、あまり醜態をさらしたくないし、練習戻ろ。
わかりやすく「さてと」と声を出し、窓枠に付けていた手を離した。離れ難いが、格好つけてヒラヒラと手をふる。
「んじゃ行くわ」
「あ、中田くん」
「んー?」
「あーあのさ、」
「なに?」
「あのね、今日さ、その、俺ん家…に来る?」
「え?」
俺ん家って先生。それはあからさまなお誘いですか?俺は金魚の様に口がパクパク動くだけで身体は固まっていた。
そう言えば2週間前のあの時以来していない。
ズクン。そう思っただけで下半身に熱が集まりそうだ。自分の若さに呆れる。してえ。
「(…期待していいのか?)」
そんな考えがテレパシーで届いたのか、先生は頬をピンクに染めた。やべえ。この人本当に可愛い。
「…いやかな?」
「嫌じゃない!行く!」
「ふふ、よかった。待ってるから和樹、練習頑張って」
そう微笑む姿はどこか妖艶で。俺はこれからとびきり可愛い年上の恋人に振り回されそうだ。
「(か…和樹って。初めて名前呼ばれた)」
幸せ、俺。
END