こうなったユキは俺ですら手に負えない。
「行きましょう」
ユキは俺と色違いの白のシフォンワンピースに黒のジャケットを羽織った。さすがカリスマモデル。すんげーカッコイイ。
ニコリと微笑んだ。こうなったユキはもう最強だ。
「高橋くんもご一緒しましょうね」
「え?やだよ」
「んじゃ、車まわしてくるね」「ありがとう」
「俺を無視するなー!」
また巧に担がれた俺はさすがに諦めて大人しく赤色の車に収まった。車に詳しくないから種類までは判らないけど、高そうな車。ピルルル。ピルルル。小さく響く電子音。携帯かな?
「ユキ?」
「ああ、ごめん。気にしないで、すぐ切れるわ。」
「そう」
しばらくすると電子音は消え、ユキが「ほら、ね?」と微笑む。俺も微笑んだ。
一瞬、ユキが沈んだ顔をしたのはなぜ?
日本料理屋に着いて個室に案内された。店内は広く、小さな個室がふすまで区切られていた。ふすまの前には真ん丸の和紙で出来た照明が置かれている。そこに部屋番号がかかれていた。ここは二十四か。