雪ちゃんの誕生日



「はあ?」
「俺のに何してるのか聞いてる。」
「なに言ってんのコイツ!俺達のYUKIちゃんだけど」
「こんな細せー腕してるくせに俺らに勝つ気かよ!」


 確かに男達は引き締まった腕をしていて、巧の贅肉の無い腕を掴んだ。

「気安く触ってんじゃねーよ」

 すると巧は俺の腰を掴んでいた男の首元を掴み、持ち上げた。男は苦しそうにブラブラと足をばたつかせる。

 そして、投げ付けた。
「っう、」
 下品な男はまだ苦しいのかびくともしない。ゼーゼーと荒い息だけが聞こえた。

「…まだやるか?」
「ひいい!」

 もうひとりの男はもがく男を連れて逃げて行ってしまった。あっという間だった。

 カクンと腰が抜ける。緊張の糸が切れ、涙が溢れた。


「たくみ…俺、ひくっ」
「怖い思いさせて悪かったな」
 そう言って俺の頭を二回撫でると、優しい抱きしめてくれた。あったかい。

「…こわかった」
「あーだから俺が悪かったって。よしよし。」

 首にギュッと抱き着いた。まだ震えが止まらない。よしよしと撫でる度に、フワフワの髪に水滴の粒が増えていく。

「こわかっ…ふぇっ」
「泣くな泣くな。化粧取れるだろうが」
「だっ…て、ひくっ…」

「まさかアキ、あいつらに何かされたのか?」
「何か?…!さ、されてな、いけど…こわっ」
 優しかった。


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