小林ですけど2
「あ、あんたが」
え?
「あんたが小林優也だったのね!」
突然の叫び声と共に、バン!と大きな音が聞こえた。叫んだ少女はあまりに驚いたのか、先程まで探っていた段ボールの中身の紙が何枚かヒラヒラと舞っている。
なんだ?
「…まぁ、はい。」
「私、あんたがキライだから!」
……は?
「あんたのせいで私は5位なのよ!」
「真椰ちゃーん、それは言いがかりじゃない?」
「うるさい、あんたは黙ってて」
目を更につりあげワナワナと怒りに震える少女の横で、ヘラリと笑う金髪さん。
おいおい、なんなんだよ。そもそもなんで俺が嫌われてるのかわかんねーし。
「…だって、だって今まで、私がずっと4位だったのに。」
ん?今まで?4位?5位?俺が来るまでって、
あ。ちょっと待て、てことは…、
「貴方達も生徒会役員なんですか?」
「あれ、言ってなかったっけ?そうだよー」
「やっぱり!そうなんですか」
だから、俺が来る前は4位だったとか言ってんのか。
でも、5位だったらどっちにしろ役員だろ?
「うふふ。ねぇ、同期なんだしタメ口でいいよ?」
「あ、そうっスね」
「あはは。また、敬語ー」
「キイー!あほチカ!そのまま話進めないでちょうだい!」
少女は怒ったのか、金髪さんの右腕はバシバシと叩いた。
「痛っ、痛いよっ真椰ちゃん」
「…えっと、」
「あ、マヤちゃんは放っといていいから。俺、近沢 登流(ちかざわのぼる)。会計長。チカって呼ばれてるから、そう呼んでね。もう、痛いってばー」
「あ、ども」
とびっきりの笑顔でサクサク紹介するチカさん(…くん?)。余裕があるのか、なんだか少女の相手は手慣れている様子すら感じる。
お互いを分かりあっているみたいだ。
でも役員って俺みたいに封筒で突然来るものじゃないのか?
二人は同じクラスだったとか?
それにしても、みんなアダ名で呼び合ってるし、仲良さそうだし。
なんだか素直に羨ましいなと思う。