小林ですけど
さっきからショウと仲良さげなこの人たちも役員なのだろうか。
「それにしても珍しいね、翔子ちゃんがその席に誰か座らせるなんて」
ピリピリした空気を換えるためなのか、無意識なのか金髪さんはソファーの話をし始めた。え?なんだ、それ。
「え、(そうなのか?)」
もしかして、特別扱いなのか、俺。
「お気に入りの席だもんね」
ヘラリと笑い尋ねる金髪さん。ショウはうーんと小さく唸って黙り込んだ。
え、でも俺はショウに指示されてこの席に座っているんだけど。そう思いながらも真っ赤な革張りの椅子を優しく撫でた。
「…。」
「理由があるの?翔子ちゃん」
「…ある」
「ふーん。ショウが何か考えてるのなんか珍しいわね。」
嫌みか?
「ねえ、どんな理由なの?」
どき。まさか、俺のこと
「…、テストの結果私よりユウちむが点数が上でしょ?」
「それだけ?リュウにも座らせないじゃん」
そうなんだ。リュウて人も座れないんだ、この席には。
「それに、」
それに?
「さっきトモダチになったの」
「そうなんだー」
「名前呼びあうのトモダチ、でしょ?」
やっぱりこの人おかしい。…あんだけ盛り上げといて友達かよ!ちくしょー。
「そうだね」
またニコリと笑った。
よく笑う人なんだな、この人。ニコニコ笑顔を振り撒くとか、俺には出来ない芸当だ。
「で、あんた誰よ?」
つり目の少女はイライラと俺に尋ねた。尋ねながらガサゴソと段ボールの中で何かを探しているようだ。
「…小林優也ですけど、」
「あ、やっぱりユウちむなんだー」
あはは、と金髪青年。
「あ、あ、」
ん?
「「あ、」?」