続々とやってくる
「……あんたたち、何してるの?」
「ん?」
「うわああー!!」
(誰?!また、違う人が来た!)
※プチパニック
扉が開く音と共に、突然現れたのは、つり目の小柄な女子生徒に外国人のような金髪の男子生徒の二人組で。
張り詰めていたものがとけたような、トランプの城を壊されたような。なんだか地に足が着かない。
「ちょっと!ここは生徒会室よ。急に大きな声出さないでよ」
「すいません…(そっちの方が声デカイ…し)」
びっくり、した。心臓がバクバクしてる。色んな物飛び出すかと思って、本当にびっくりした。本当に飛び出すかと思った。
「チカ、お疲れ様」
「ありがとう。いや、まだあるけどねー。それより翔子ちゃん、あんまり男の人に近づいたら危ないよー」
ひょいと俺の目の前にいたショウは金髪さんの腕の中に引き寄せられていた。
金髪さんは、見た目とは裏腹に日本語が流暢だ。芸能人みたいだ。笑顔が眩しい。
「チカーはなしてー」
二人きりの異様な空気から解放され、さっきの胸の高鳴りは、一瞬にして吹き飛んだ。
いや、むしろ異様な空気は色をかえていた。
「……(大丈夫かな、俺。)」
「ユウちむ。大丈夫よ、マヤとチカだから…」
「えっと、」
なにが?とはもう聞かないことにしよう。それにしても、ゆるいなショウって。きっと知り合いだからという意味だろう。(…たぶん。)
「ねぇ、ショウ」
「なに」
「まさかとは思うけど、私がこんなに忙しく働いてるのに、あんたたちは仕事さぼってたわけじゃないよね?」
ああ、それの「何してるの」だったのか。
あ、いや。やましいことなんか考えてないけど。
「ショウ仕事してる」
「…。あ、そ」
「ショウ仕事してるよ」
「わかったから、」
「マヤの、分からず屋」
「はあー?こっちはわかったって言ってるでしょ?しかも、今なんて言った?もう一回言ってみなさいよ」
チラリと金髪青年と目が合う。そうしたら、向こうからニコリと微笑まれた。中性的と言うのだろうか、男らしい顔ではないが、整っていて綺麗な顔だ。
それにしても、怒ってる人に笑ってる人。なんだか対称的な二人だな。
何もかもがかやの外で、俺はぼんやりそんな事を思っていた。