ダルそうに前を歩く青髪ガングロ男の後ろをのんびりと付いていく。男は時折俺がついてきているかどうか後ろを振り向き、いることを確認するとどこかホッとしたように息を吐いて再びダルそうに歩いていく。そうして辿り着いた先はさっき俺たちがいたところとはまた別の高校らしい。ガングロ男が事も無げに入っていくので俺も堂々と門をくぐった。



「広いな!」



「………」



無視された。

うーんなんて愛想がないやつ。まるで一時期荒れていた美月のようだ。こいつなんでこんなスレてんだ?ちなみに美月がスレたのは俺のせいです。いやはや!あんときは日立家朝野家全員から怒られたな〜うんうんいい思い出だ。



「おいそこのガングロ!」



「…あ?」



「何を悩んでおるのだね」



「………別に悩んでなんかねェし。つかてめーにはカンケーねえだろ」



話しかけんな、と言うように背中を向けたガングロ男は歩いて行く。うーん、素直じゃないねえ全く。これだから最近のガキは!



「ちょあー!」



「ウオッ!?何すンだよ!?」



「あ?木登りだよ」



「オレは木じゃねーよ!!」



なんとなく寂しく感じた背中に勢いよく飛び付いてやった。するとガングロ男は驚いて振りほどこうと…しなかった。普通におんぶしてくれた。なんだこいついいやつじゃん!



「ゆけー、ガングロ!」



「ガングロじゃねっつーの」



「じゃあお前の名前なんてーの」



「さっき言っただろ」



「聞いてなかった」



「………」



「………」



「………」



「………」



「青峰大輝…」



「青峰な!おっけ覚えた!俺白夜!日立白夜!17歳!」



「(………年上!?)」



「おー?どした青峰?」



「や、なんでもねェ…」



さあ行けー!と進行方向を指差すと青峰ははいはいと言いながら俺をおぶって進んでくれた。なーんだ、こいついいこじゃん。スレてた美月に比べたらこんなの可愛いもんだ。少しだけ近くなった空を見上げて、俺は大きく息を吸った。




















「何あれ、……大ちゃん?」



幼馴染みが男子生徒をしぶしぶおぶりながら校内を歩いてる。あれは確か今日転校してくると噂の日立さんであろうか。何人もの桐皇の生徒がそれを遠巻きに見ているのだが、本人たちは気にしてないのか気付いてないのか至ってマイペースだ。



「………」



桃井さつきは、考えることを放棄することにした。









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