白夜からボールを受け取った。そこで勝利は確信した。
俺の放ったバスケットボールは綺麗に弧を描いてゴールへと吸い込まれるように入っていく。
ブザービーターが鳴った。瞬間、
周りが一瞬で光に包まれた。
「!?」
突然の光に目が眩んで、思わず両目を閉じる。しばらくして恐る恐る目を開くと、そこには今までいた星月学園の体育館ではなくどこかの高校の敷地の一画に、俺達4人は佇んでいたのであった。すぐ近くに真新しい校舎がたっている。ちなみに周りに人は見当たらない。
「…え?え?ここどこ?」
戸惑ったように口を開くと、珍しく白夜と柚月も困り顔であたりを見渡している。凌に至っては何が起こったのかわかっておらず、口が半開きだ。
「あれっ?俺達今までバスケしてたよね?体育の」
「ああ、そのはずだけど」
「…ここどこや?」
「一体どういうことだってばよ…」
困ったままふざける白夜に柚月が蹴りをいれる。一瞬でわけわからん事態に陥ったと悟った柚月は、すぐに不機嫌さを表すようにしかめっ面になった。
「ふざけんなどこだここは!?まさかつっこいないわけじゃねえだろうなあ!?」
「そこかよ」
「俺の世界の中心はつっこだ」
「もういいよわかったよ」
どこ行っても変わんねえなあこいつはと若干呆れつつ未だぽかんとしたままの凌を揺さぶり起こしていると、「お〜〜〜い!」と誰かの呼びかける声が聞こえた。
「なにあれ」
「頭綺麗やなー。俺達が言えたことやないけど」
「金髪と青髪と紫髪と水色…」
「えっ水色?俺には三人しか見えないんだけど」
「いるだろ、青いのの後ろに」
「あ、本当だ。美月目ぇいいな」
どんどんと近づいてくるカラフル頭の連中をぼんやり見ているうちに、彼らは俺達の目の前に君臨した。…でかいな。1人を除いて。
「お待たせしたッス!海常黄瀬が迎えに来たッスよ〜」
「めんどくさいけど来たよ〜」
「さっさと帰りてえ」
「初めまして」
各々自己紹介?をするカラフル頭の面々は、手元の紙と俺達を見比べている。なんだろう、あの紙。いやその前にこの状況がなんだろう。
「海常は夜久柚月さんを迎えに来たッスよ」
「あ?俺?」
「初めまして、俺は黄瀬涼太ッス」
「え?あ、夜久柚月」
「よろしくお願いしまスね〜」
「お、おお…」
柚月は黄瀬涼太という金髪頭の無駄に顔のいい男に連れていかれ、
「よーせんは一条凌〜」
「自分やけど」
「あー、うん、俺紫原敦。よろしく〜」
「え、あ、ああ、よろしく…」
「んじゃいくよ〜いっちん」
「いっちん!?」
凌は紫原敦という一番デカイ男に連れていかれ、
「俺んとこは日立白夜っていう奴ー」
「俺!俺俺!」
「あーそう。俺青峰大輝」
「よろしく!お前でかいな!」
「そらどうも」
「のぼっていいか?」
「え…?のぼ…、え…?」
白夜は青峰大輝というちょい悪人面の男に連れていかれてしまいました。すいません、世話かけると思いますそいつ。
そして残った俺は、ずっと隣で佇んでいる水色髪の少年に話しかけてみた。
「えーと、それで俺はどこなのかな」
「!?」
「え?」
驚いたように息を呑んだ水色少年は一度瞬くと、
「初めまして。僕の名前は黒子テツヤといいます」
「え、ああ、どうも」
「あなたは誠凛高校にきてもらいます。朝野美月先輩」
「…はあ」
ではこちらです、と踵を返して先に行く黒子くんの背中を見つめながら、なんだか大変なことになってきた気がするなあ、という呟きを飲みこんで黙って彼のあとについていくことにした。