それはある晴れた日のことである。
合同体育がバスケで、俺達4人はいつも通りつるんでいた。教師がトーナメント戦をするから5人組をつくってチームをつくれと言った。俺達は4人なため、誰か1人に入ってもらわなければならないのだが、いつも何かしらやらかしている俺達のチームに1人で入る勇気のある奴は皆無なようで、俺達は特別に4人チームとして編成された。これじゃあ不利だと思うんだけどなあ、と体育教師の采配に眉根を寄せていると、柚月が事もなげに、

「いーだろ別に。入ってこられたほうが邪魔だっつの」

「そーそ!俺達のチームワークの無敵加減ときたらそりゃもー!どんな敵もけちょんけちょんだぜ!」

「毎日あれだけこの4人でやらかせばチームワークもつくわな…」

白夜はともかくあの凌まで俺達4人のチームに誰か入るのを拒むように呟いた。うーん、なんだか少し納得がいかないがまあ仕方ないか。俺はいつも通りお気に入りのリストバンドをはめると、

「目指すは優勝だな」

「当然」

「俺が運動もできるってことを見せてやるぜ!」

「自分体力ないからゴール下でええやんな?」

1回戦を突破しようと、俺達はコートに足を踏み入れた。






なんやかんやで決勝戦まで辿り着いた。
4人だけの編成でよくぞここまで来たなと体育教師は冷や汗をかきながら無敵の4人を見つめる。
朝野の瞬発力と反射神経は誰よりもはやく、スリーポイントを打てば弧を描いて綺麗に入る。日立は体の小ささを利用して相手の懐に潜り込んだかと思うと一瞬でボールを奪い去り、幼馴染であるためか息がぴったりな朝野にボールをまわしてしまう。夜久は全体的に平均的だが、持ち前の頭の良さと狡猾さを利用して相手に隙をつくる。体力はないが高身長の一条は、背の高さを利用してゴール下を守る。

「(なんて奴らだ…)」

正直な話、4人だけで組ませたのはある種の嫌みでもあった。どんな生徒も平等に、公平に扱わなければならないのが教師というものであるが、この4人は特例だ。あれだけ学園を騒がせて、まともに授業もでていないというのに成績はいつだって上位キープなのである。自分だって教師である前に1人の人間だ。僻まないわけがない。あれだけ好き勝手やっているくせにこのような結果をだしてしまう天才4人を困らせてやろうと4人組で編成させた体育教師だったが、その思惑は失敗に終わったのだった。

「うっわ、朝野たちのチームもう少しでトリプルスコア…!?」

「あれ、あいつらってバスケ部だっけ?」

「や、朝野は水泳部で一条が弓道部だった気がする」

「バスケ関係ねえの!?なんなんだあいつら…」

隣で瞠目する他の生徒たちをチラ見してからコートに目を移した。コート内では9人の生徒がぶつかりあっている。圧しているのは4人編成のチームのほうだ。

「…チッ…」

舌打ちする体育教師の隣で、1人の人間が4人の活躍ににんまりと口角をあげて呟いた。

「そうだ、こいつらにしよう」






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