ガッタアアアン!と音を立てて座っていたベンチから立ち上がった俺を笠松さん(…だよな?)がドン引きしましたとでも言いそうな顔で此方を見やる。うん、これは白夜が悪い。

「ど、どうかしたのか…?」

「いや、あの、まあ…つっこが」

「つっこ?誰っスか?」

「名前で呼ぶんじゃねえよ」

「理不尽!!」

うわあああんと笠松さんに泣きつく黄瀬を横目に携帯を見つめる。さっき電話して来たのは確かに白夜だった。白夜が行ったのは確か日サロ帰りっぽい男の学校で、思わず首を傾げる。……あいつ、月子を誘拐でもしたのか。

「(……ブッ殺ス)」

日サロ帰りの男とかどうでもいい。とりあえず月子だ。最優先は月子。あの声は確かに俺の妹のものだった。此処が何処だとか一切関係無い。とりあえず月子。どう足掻いても月子だ。

「おい、黄瀬」

「な、何スか…?」

「(ビクビクうぜえ)…日サロ帰りの男が通ってる学校って何処」

「日サロ帰り、っスか?」

「おう」

「………ぶふぉっ!!」

1on1した所為か?黄瀬がピクピクしたまま床に倒れた。どうしようかと辺りを見渡していれば、何か凄い叫んでて何を言ってるか分からない奴が俺を見て笑う。純粋培養かよ。俺の苦手な人種だろチクショウ。

「何か気にな(る)事でもあったのか!?」

「……えーと、こいつ、黄瀬と同い年でガングロの奴が俺の大事なものを奪っていったんで取り返してやろうかと思ってたんだけど、学校聞く前にこいつが痙攣しだして…」

「ガング(ロ)?……桐皇の青峰大輝だな!!」

こいつ声でけえ。とりあえず貰った情報をありがたく受け取って、携帯で新規メールを作成する。カチカチとボタンを押し進める中、思わず俺の思考は停止した。

………月子がいるって事は錫也達もいるのか?



柚月さんのターン!桐皇に月子がいると勘違いしてます(笑)



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