紫色の液体を口に流し込んだ。ほとんどと言っていいぐらい、この行為中は誰にも会わないのは至極不思議やと思う(そうしてるのは俺やけど)。
こくりこくりと喉を鳴らして飲めば、じわじわと身体の内側から刺さるような痛みを感じた。漏れた嗚咽と波のように揺れる視界に、嬉しくなった俺は残っていた液体を一気に流し込む。
「っ、はぁっ、……ぐっ」
良かった、成功した。これをあの双子に与えたらどういった反応をするのやろうかと考えながら、手探りで解毒薬を探す。……あれ、どこに置いたっけ。
「お前何やってんだよ、死ぬつもりか?」
「あ、………っゆづ、き?」
「柚月様だバカ。…これだろ、解毒薬」
「んっ、すま……、」
早く飲めと言わんばかりに、瓶を口に突っ込まれ、手元にあるビーカーの中身をぶちまけたろかと内心悪態を吐きながら先程とは違って、甘ったるく出来た液体を飲んだ。
「凌」
「(楽になってきた…)ん?」
「そういうの、美月にバレないようにしてろよ」
「…優しい殺し屋さんは、俺なんかを気にしそうにはないんやけど」
「はい卑屈うざい」
「………」
「優しい、殺し屋なんだからあいつは」
「……分かった」
お前が苦しんでる姿は凄く不愉快だったしな、なんて鼻で笑いながら、俺に向かって瓶を投げてきた柚月。それを右手でキャッチした俺も、小さく笑いながらただの水道水が入ったビーカーを投げた。
※アンブロージャ/神の食物