ハァイ全国の白夜ファン!俺だよ!
自己紹介はこれで行こうと思ってたんだけど、よく考えたらここ男子校だから使えなかったわ!男のファンなんていらねーよ。陸海行ってたらできたのか。まあ俺は今星月学園にいるわけだからもしも話はやめよう。

話は変わるけど、俺は今迷子である!胸張って言えることじゃないんだけどね。

「やべーな」

入学式が無事終わり、各学科の教室に行って自己紹介諸々と担任の退屈な話が済んで、今日はお開きとなった。幸いなことに友達はたくさんできたぜ!皆いい奴でよかった。

話が逸れた。
俺は今迷子である。

「どうしてこうなった」

歩けど歩けど見知らぬ風景ばかりで焦る。まあ入学したばかりなのだから知らなくて当然なのだけども。

「参ったなあ、携帯の充電切れてるし」

昨日充電するの忘れました。ああ困った。これでは美月に怒られてしまう。あいつのゲンコツは姉ちゃんより痛いのだ。うーむ困ったなあ…………あ、あれっ?人がいる。ちょっとあの人に道を聞いてみよう。

「第一村人はっけーーーん!!!」

「ぬお!?」

本を数冊抱えた白髪の人にちょっとフランクな感じで近付いたら、変なものを見るような目で見られました。さすがの俺もちょっと傷ついたぜ。

「あの!ちょっとお伺いしたいんですが!」

「お…おお…?なんや?」

「ここどこですか!」

「…………は?星月学園やけど…」

何言ってんだコイツ、とでも言いたげな目で見られました。ごもっとも!俺だってなんて聞いていいかわからない!

「あ、もしかして自分、白夜か?」

「は?あ、あなたも白夜って言うんですか!偶然ですね俺もだよ!」

「あ、や、そうやない、お前、日立白夜か?」

「おお!そうですわたすが日立白夜です」

「そうか」

志村けんの物真似したのにスルーされた。悲しいなあっはっは。
関西弁の兄ちゃんはおもむろに携帯を取り出すと、どこかしらに掛け始めた。

「ああもしもし。おったで。図書館の前や」

「?」

誰と話してんだろ?ま、いいや。俺は再び旅に出るとしよう。さらば白髪。

「ちょい待ちそこの茶髪」

「何おう!?俺は白夜だ!」

「あーわかったわかった、ちょいと待ちぃや白夜」

「ほ?」

白髪がやや呆れ顔で俺に待てと言う。仕方ないので待つ。

「なあ白髪、お前名前なんてーの?学科は?」

「俺は一条凌や。星詠み科」

「星詠み!?すげー!今詠める!?」

「え、あ、いや、うん、まあ、」

「えー!すげえすげえ!お前すげーな!ソンケーするわあ!」

「…………」

「凌って呼んでいい?まあ呼ぶけど」

「好きにしぃ…」

いえーい!別学科の友達1号だぜ!あっ美月は別ね。

その後、図書館前の花壇に座り、凌と他愛もない会話をしていたら美月がやってきた。

「白夜、一条」

「あ」「お?」

美月は特に慌てた様子もなく淡々としていた。もっと俺のこと心配してくれよ。

「あーごめんごめん」

誠意を感じない。

「悪かったな一条」

「ええで、図書館の帰りに偶然見つけただけやし」

「あらっお2人とも知り合い?」

「おん。朝野が草むら探しとったから、なんや探し物かと思うて声掛けたらお前探してる言うから協力したんや」

「助かったよ」

「つーかどこ探してんだよ美月」

「居るかなと思って」

いねーよ。

「ほな、帰ろか」

「おう」

凌が本を持って、花壇から腰をあげた。俺も勢いよく立ち上がる。

「なあ3人で飯食いに行こーぜ!食堂!食堂!」

「えっ、いや俺は…」

「なんか用でもあんのか?」

「おい白夜、無理に誘うと悪いだろ」

「凌?」

行く?行かない?と凌の顔を覗きこむと、瑠璃色と目があった。
凌はしばらく黙ったあと、

「あ、い、行くわ…」

よっしゃ!食事は多い方がいいからね!

「いえーい!俺ね俺ね牡牛座定食にするんだ!」

「そうか好きにしろ」

「いえええええいいいいいいい!!」






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