オリエンテーションキャンプで変な奴が誘ってきた。

同じ科の奴で適当に組もうか悩んでた俺にとって、それは、まあ、何だ。……あれだ、最高のお誘いだった(とでも言っておく)。

騒がしい、普通、女顔。何と言うか騒々しいメンバーだと思わなくもないし、そこに入った俺としては、何とも形容し難い気持ちだった。

「何か、悪いな」

「や、気にしてない」

美月とか言った奴が頭を掻きながら俺に謝る。髪を下ろした状態だからか、女子に謝られてるようで何だか気分が悪い。

そんな美月を無視してか、俺を誘えた事を心の底から喜んでるように声を上げながら女顔の凌とか言う奴に飛びつく白夜。そんな白夜を女子顔負けの笑顔で宥める凌は、俺と目が合ったかと思うと、にっこりと笑った。

「柚月、でええやんな?」

「……おう」

「めっちゃ迷惑かけると思うけど、キャンプ楽しもなぶふぅっ!?」

凄く綺麗な笑顔を浮かべた癖に、飛びつく勢いが強すぎた白夜に凌はぶっ飛ばされる。その時の凌の顔がスローで見えた俺は思わず噴き出してしまった。

「あ、柚月笑った」

「イケメンは笑うと更にイケメンだなー!」

「ちょい待ち。自分、俺見て笑ったやろ!?」

外野が何かを言っているのを無視して、俺はひたすら頭の中で再生される凌の顔を思い出して、再度噴き出した。






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「見えない臓器の名前は」
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