他人の迷惑を省みないというブラックホールは本日も盛大にやらかしてくれた。
「こらあああ!お前たち!待ちなさい!」
体育教師が、鬼の形相でこちらに迫ってくる。怖い。非常に怖い。
だから逃げている。理由もわからずに。
しかし俺の目の前を走る2人は何か知っているようで…というかほぼやらかした本人のようで、追ってくる教師陣から楽しそうに逃げている。俺と凌を巻き込んで。
「待てと言われて待つ奴などいないぜ!」
「ははっ、あのセンコー足おっせえなあ」
「お前らマジふざけんなよ!!!」
「あかんしんどいわ…」
俺の後ろで凌が倒れそうになっている。頑張れ凌負けるな凌。理由もわからず捕虜になってはたまったもんじゃないぞ凌。
「じゃあ俺がおぶってやんよ!」
「えっ」
「えっ」
「えっ」
どう見ても白夜のほうが小さいんだから無理だろ、と俺たちは思ったが、
「ちっちゃくたって〜気にしない〜」
白夜はワカチコワカチコいいながら凌をおぶさると、スピードを落とすことなく走り始めた。その様子に若干唖然とする俺と柚月。
「なんだあいつ…体力底無しか…」
「やれやれ…」
「こらああああ!待ちなさい!!!」
「やーなこった!」
「ひああああ白夜スピード!スピード落としぃ!」
「おいどけ!轢かれたいのか!」
「すいません!本っ当すいません!!」
今日も俺たちは全力で学園内を駆け回る。
なにしたんだ元凶どもめ