「ねぇ、梓!あれって夏の大三角形じゃないかな?」
「本当だ。って、何してるの名前!」
僕の返答を聞きながら、彼女は手を伸ばす。
まるで、星を掴もうとしているようだった。
ほしはなび
「あの星が掴めないかな?って思って…」
名前は、少し寂しそうにそう言った。
「なら、掴めないけど、もっと近くで星を見せてあげようか?」
星を掴めないかなと、そう言った名前がすごく寂しそうで、僕はそう言った。
星とは違うけど、少し似ている。
そんな、綺麗なものを。
名前に見せてあげたくて。
* * *
「夏祭りなんて、久しぶり!梓、誘ってくれてありがとうっ!」
「僕も、久しぶりに行きたいと思ったんだ。」
楽しそうにわたあめを頬張る名前を見て、誘ってよかったと思った。
彼女の笑顔は、僕の力になる。
「あっ…花火が上がったよ!」
夜空に、花火があがってきらきらする。
それに名前は手を伸ばす。
「光が近い…ね。」
「そうだね…。」
彼女は花火に愛しそうに手を伸ばす。
「お星さまみたい。すごくきれい。」
そう言った彼女が幸せそうに笑ってくれていて、僕も思わず笑顔になった。
「名前、また一緒にこよう。」
「うん!!」
夏の夜の一時。
梓くんと一緒にみた花火は今まででいちばんきらきらしていたの。
end.