#2

 入部届けを出すと、一年で入部確定してるやつらの名簿を見せてもらえた。名前だけ見たってわかりゃしねーけど、まあとっとと覚えて仲良くなっちまった方が楽だな。その程度で名簿をぼんやり見ていたはずなのに、ハタと目がとまった。

 ”緑間真太郎”

「この緑間って帝光中のっすか?」
「ああ、キセキの世代のな…」
 生意気な奴だったらうぜぇな、とため息を吐く先輩を前に思わずにやりと笑ってしまった。面白そうな奴きたな。天才ってやつだろ。つーか、クラス名簿に名前あった、ぞ、おいおいおい。
「明日朝練やってっけど、くるか?一年」
「高尾っす、時間と場所いいっすか?」

 
 入部手続きを終えて、明るい日差しの校庭にでると桜吹雪が綺麗だった。三年間ここでがんばんだな、受験が終わって、あの過程があってここにいるという感慨が今更湧いて、ちょっと幸せだ。ふと視線をずらすと、やけに背の高い奴に気がついた。そういえばあいつって同じクラスだわ、ってことは、

「緑間真太郎ってあいつじゃねーの」

 タイミング良すぎて思わず声がでた。小さな女の子連れちゃって、まあ。入学式から一緒に帰るなんて天才様は違うなあ、なんて思いながら離れているのを良いことに無遠慮に観察した。背が高いし、それに指の包帯、あ、テーピングか? バスケ大好きだなあいつ。緑間を見ながら、これからの高校生活に胸が踊るってのを体感していた。それにしても、いい雰囲気のカップルって羨ましいわけで、俺もそんなことあんのかなー、なあんてな。