One-sided love
「 .....なに?..この重苦しい雰囲気 」
「 ん?....そんな雰囲気出してる覚えないんだけどな 」
「 .....そぉ? 」
珍しく練習が休みの今日、201号室で同室の幸村と白石と不二は久々にゆったりと平和な1日を過ごしていた
幸村が真田に用事で部屋を少し空けるまでは...
「 でも白石の雰囲気はさっきまでとは違うみたいだけど 」
ベッドサイドでベッドに寄りかかり床に座る不二の真向いのベッドの上で白石は足を組んで座っている。それだけなら別にさっきと変わらないが、腕を前に組み顔は俯いてちゃんと見えないが明らかに怒りのオーラが漂っていた
幸村が僅か10分部屋を離れただけで、部屋のゆったりとした雰囲気が一変して重苦しい雰囲気に変わってしまっていた
「 知らないよ。勝手に怒ってるだけだよ 」
「 ....不二、何か言ったのかい? 」
幸村はそう言いながら不二の隣に行き不二の寄りかかるベッドの上に腰を下ろした
「 ...僕は正直に言っただけだもん 」
「 ...何を? 」
「 不二くん! 」
「「 ?! 」」
今まで無言でいた白石が突然声を張り上げた。驚いた幸村と不二は目を見開き白石を見る
「 俺と幸村くんと何が違う言うんや 」
「 ..え、俺? 」
まさかここで自分の名前が呼ばれるとは思いもしなかった幸村は思わず聞き返してしまう。
それとは逆に不二は冷静に口を開く...
「 何が違うって、顔と声と性格と髪の色と身長と.. 」
「 そうやのうて!...なんで幸村くんやねん 」
「 ちょっと待ってよ。何の話? 」
より一層雰囲気が悪くなる前に幸村は二人の話に割って入った
「 それがね...白石が急にもし付き合うなら俺と幸村どっちを選ぶ?...なんて聞くんだよ 」
「 ...... 」
「 不二くん酷いんやで?考える間もなく即答で幸村くん言いよったんやで 」
「 そこまでは言わなくてもいいじゃないかっ 」
少し慌てた様子の不二を余所に幸村は話を続ける
「 へぇ....白石はなんでそんな質問したの? 」
想像していた以上に下らない喧嘩の理由に幸村は肩透かしを食らったような気分になった
でも不二が白石じゃなく自分を選んだことに対しては悪い気はしない。寧ろ少し嬉しくも思う
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