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「 どういう意味だい? 」
不二は怪訝な瞳で観月を睨み付ける
「 おや?...興味が湧いてきましたか? 」
睨む不二に対し口元に手を添えてクスリと笑む観月
「 ....君っていちいち感に触るよね。」
「 んふっ。好きな子ほど虐めたくなりますからね 」
「 ふーん、そう。
僕、そろそろ裕太の試合見たいんだ。邪魔しないでくれるかな 」
観月の言葉をさらりと受け流してまた不二の視線はコートへと戻る
「 んふっ。随分あっさりと流してくれますね
...おや? 」
観月がふとグラウンド入り口付近に目をやると買い物を済ませた菊丸が走ってこちらに向かって来ているのが見えた
「 ...計算してたより早いですね 。まぁいいでしょう..
....裕太くん! 」
不意に観月がたった今試合を終えて汗をタオルで拭おうとしている裕太の名前を呼んだ。
観月の突然の行動に隣に座る不二も思わず観月の方へと視線を向ける
「 なんですか?観月さん 」
裕太がフェンス越しに観月に返事を返す、すると観月は妖艶に微笑み今度は兄・周助の方を呼ぶ、それに思わず素直に反応してしまった不二
「 不二くん 」
..チュ
「 ....... 」
観月が不意を突いて不二の唇にわざとリップノイズを立てて軽く口付けた
突然のことに当人の不二もそれを見せられた裕太もポカンと固まる(その周囲も...)
「 んふっ。裕太くん、君のお兄さんは僕がお引き受けします 」
「 え....観月さん? 」
裕太は混乱してなんて返して良いかわからず動揺している。兄・周助の方は俯いたまま黙っている...
「 にゃー!観月ー!!!! 」
今の状況を見て同じく固まっていた菊丸もようやく我に返り不二と観月の方まで走って向かって来る
観月はサッと立ち上がり、「それでは不二くん、今度はお1人で来てくださいね。」と言うと早々とその場を去って行った。
残された不二の元に菊丸が駆け寄り目の前にしゃがみこむ
「 不二ィ、大丈夫? 」
不二の両肩を菊丸は掴んで様子を見るが不二は俯いたまま...
「 くっそぉ!観月め
俺がけっちょんけちょんに」
「 英二.... 」
不二が俯いたまま菊丸の名前を呼ぶ
「 ん?大丈夫だよ、不二!俺が観月を成敗してやる!! 」
「 英二...ありがとう。でも大丈夫 」
不二は自分の両肩を掴んでる菊丸の手に自分の手を添えて微笑む
「 ....不二、」
菊丸が心配そうに不二を見つめる
「 大丈夫 」
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