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一方、乾と別れた不二と菊丸は乾がいた方とは逆方向のグラウンド脇の木陰に隣同士腰を下ろして寛いでいた
「 ふぅーなーんか疲れたにゃー 」
菊丸は腕を枕にして仰向けにごろんと横になる
「 観月ってさぁ、にゃーんか、何考えてんのか分かんなくて苦手!あまり関わりたくないタイプだよな 」
そう言いながら菊丸は口を尖らせる
「 ........ねぇ、英二。 」
横たわる菊丸の横で体育座りをしながらルドルフの練習風景を眺めていた不二が口を開く
「 ん? 」
「 ......お腹空いた 」
「 え?お腹? 」
「 だってさ、英二ってば僕のお弁当全部食べちゃうし 」
「 あー.... 」
たしかに今日の昼、菊丸が不二のお弁当まで全部平らげてしまっていた。その為に不二は昼食を食べていない..
「 ..どっか買いに行く? 」
「 ....裕太、今試合してる 」
「 ..... 」
要するに今はここを動きたくないと言いたいのだろう....
不二ってばほんとブラコン!
なんて菊丸は思ったが不二の空腹の原因は自分に有るため、何も言わず黙っておくことにする。
「 ....じゃあ俺なんか買って来るよ!何が食いたい? 」
「 んー...なんでもいい。英二のセンスに任せる 」
「 うわっ.... 」
任せる...てのが一番難しいのに....
「 ?。どうしたの?ほーら早く!お腹空いて死にそー 」
.......
「 わ、わかったにゃ!
すぐ戻るからそこぜーったい動くなよ! 」
そう言って菊丸は反射神経抜群にパッと立ち上がると校門のある方向へとダッシュで走って行った。
不二は菊丸の走り去るのを見送った後、目線をコートに戻し3年の野村と練習試合をしている裕太を見つめていた
「 裕太くん、とてもお強くなられましたよ 」
突然の背後からの聞き覚えのある声......
振り向かなくとも当然誰だか分かる不二は振り向くことも、返事をすることもなく、ただひたすら裕太の姿を目で追う
「 ....そんなこと、言われなくとも見れば分かりますか。先程からずっと裕太くんを見ていますしね 」
「 ...... 」
無視をする不二を気にすることもなく、先程まで菊丸が座っていた場所まで歩いて行き腰を下ろす
「 .....観月 」
そこでようやく不二が口を開いた。
「 なんでしょう? 」
「 ....コソコソ隠れてなんのつもり? 」
「 おや、バレてましたか。
私が隠れているのをわかっていて菊丸くんを買い物に行かせたのですか? 不二くんも私と2人きりになりたかったのですね、嬉しいです。んふっ 」
「 ......フフ。そうだね。2人きりになりたかったのはたしかだ 」
また邪険に言われると思っていたのに、まさかの不二の返事に自分から切り出しておいて少々驚いた様子の観月。
「 不二くん、」
「 英二がいると気を遣って、観月に何も言えないしね。 」
不二が観月の言葉を遮る
「 .....気を遣って?....もしかして愛の告白ですか? 」
「 ....愛の告白?僕が君に?
まさか...するわけないだろ 」
不二はクスリと笑うが目は笑っていない.....
「 さっきから聞いてると、君は僕に気があるような感じがするけど..
.....でも僕は君に対して全くなんの興味もない 」
「 んふっ。今はそれで構いませんよ 」
「 ...... 」
相変わらず何を言っても口角を少し上げて微笑み続ける観月。不二は呆然とし始める
「 ...ですが、今これから貴方は私に興味を示すことになると思いますよ 」
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