サンジョルディ



まだ、辺りは薄暗い朝の4時。
昼間はうるさい合宿所内も流石に静寂とした時間が流れる


そんな中、数ある中の一室である201号室で目を覚ます者が一人..



「 んー、今日もええ感じや 」



四天宝寺の部長、白石蔵ノ介だ。


白石は大きく伸びをすると二段ベッドの下段から軽やかに床に降り立つ



―――と、



「 おはよう。白石 」


「 !!! 」



ベッドから降りた白石を待っていたのは...



「 ...なんや、不二くんか。びっくりしたわ.. 」


白石と同室の不二周助だった。 不二の出で立ちは既にジャージ姿であることから白石よりも先に起きていたみたいだ


「 不二くんがこんな早起きするやなんて、珍しいな。...どしたん? 」


白石は軽く身体を伸ばしたりしてストレッチをしながら不二に質問をする



「 ...なんだか早く目が覚めちゃって 」


そう答えた不二は視線を泳がせて何故か少しソワソワしてるように見える
いつも落ち着いている彼だからこそ、この態度には違和感があった


「 不二くん....何かあるんとちゃうか? 」


白石はなんだかいつもと違う不二が心配になり、ストレッチを止めて不二の顔を覗き込む



「 .....分かる? 」


「 ん? 」


不二の言葉に白石は疑問符が頭に浮かび上がりそうな顔をする


そんな白石に不二は密かに隠していたのであろう、あるものを差し出した



「 ...え、なんや? 」


「 他の人に見られたら恥ずかしいから静かなうちに、君に渡したくて 」




不二が差し出したのは手の平より少し大きな小包。綺麗にラッピングもされていた



「 これを俺に? 」


白石は不二から小包を受け取るとそれを暫し見つめながらふと閃く



「 あ、誕生日...プレゼント? 」


今日は4月23日。少し遅れての誕生日プレゼントだと白石は考えた



のだが....



「 でも不二くん、誕生日プレゼントはもう貰っとるし、そんなに悪いわ 」




そうなのだ。白石は既に自分の誕生日の日に同じく同室の幸村と不二から祝って貰っていたのだ

その時に不二からは小さな小鉢に納まる可愛いサボテンを貰っていて、 白石はそれをとても気に入り大切に育てている。




「 君に受け取って欲しいんだ。 」


不二は真剣な眼差しで白石を見つめる



「 ...不二くん。



おおきに。大事にするわ 」



白石は優しい笑みを浮かべて貰ったプレゼントを小さく掲げた



「 それね、僕の大好きな話なんだ。」


不二はニコリと微笑みながら白石が持つ小包を見つめた



「 話?ちゅーことは本? 」


「 ....あ、...うん 」


白石が聞くと不二は何故か少し顔を赤らめて俯いてしまった




「 ?。読むん楽しみやわ 」


不二の反応に不思議に思いつつ白石は素直に読むのが楽しみだと不二に笑いかけた



「 君に..好きになって貰えたらいいな。 」




不二は白石から視線を外しながら恥ずかしそうに呟く



「 きっと絶対好きになるわ。 」



何気なくそう返した白石だが、その言葉に不二は先程よりも頬を赤らめてしまう



「 え?不二く
「 じゃあ、ぼ、僕ちょっと...朝練して来るよ! 」


不二はそう言うと勢いよくドアへと向かう



「 ぇえ?ちょ.. 」



不二は白石の返事も聞かずに部屋を後にして行ってしまった




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