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白石はポケットから使い捨てのライターを取出して不二の持っていた線香花火に火を点けた




「 ....綺麗 」


不二が誰に言うでもなく呟く。そんな不二の横顔を見て微笑みながら白石は自分の花火にも点火した



「 ほんまはもっと派手なのやりたかったんやけどなぁ、急に思い立って来てもうたから....堪忍な 」


白石が申し訳なさそうに不二を見やる



「 ううん、僕線香花火好きだよ....嬉しい 」



「 ああ不二くん、線香花火ぽいもんな。 」



「 ぽい...て? 」


「 いや、別に線香花火みたいに不二くんも短命!とかは思ってへんで?なんやこう..儚げなとことか小っこくても煌びやかなとことかが似とる


あ、でも美人薄命て言うからな....どうなんやろ 」



白石は一人あたふたして考え込む。不二はなんだかそれが可笑しくて思わず吹き出してしまった



「 あはは!別にそこまで考えなくていいじゃない 」



「 いや、でも美人薄命言うしな 」



「 もーいいって! 」



パチパチ.....ポト



「「 あ!」」


不二が声を発した瞬間、二人の線香花火の火花が同時にポトリと下に落ちた




「 あーあ....綺麗だったのに 」



「 ....同時や、完璧同時!これすごない?! 」




不二がガックリ肩を落としたのとは対照的に隣の白石はさも嬉しそうに笑っている



「 俺と不二くんはこの線香花火と一緒で心が通じあっとるんや。...離れとっても関係あらへん 」


「 ..... 」



「 な、不二くん 」



「 ....うん」






不二は消えてしまった線香花火をずっと見つめながら頷いた







「 っよし、ほなそろそろ帰ろか? 」



花火をゴミ袋に入れて白石は立ち上がる
白石に手を差し伸べられた不二はその手をとり立ち上がった






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