※拍手ログ
「暑いです…」
「ぶったおれんなよー、テツ」
「君が退いてくれたら少しはマシになると思います」
「あー?無理」
真夏のムシムシとした体育館の隅で、黒子の後ろからべったりとくっついている青峰。
それでなくても外は三十度を超えているのに蒸し暑さの増した体育館で、しかも部活の休憩中にくっつかれたらたまったもんじゃない。
黒子は始めこそ青峰を引きはがそうと頑張ったが、力では断然適わないのは分かっていたので早々に諦めた。
「死にそうです…」
「大丈夫だ」
「その自信はどこからくるんですか」
「倒れたらちゃんと保健室まで運んでやるよ」
そこまで言うなら倒れる前に離れて欲しい。
そんな黒子をよそに青峰は何を思ったのか、よいしょ、という掛け声とともに黒子を自分に凭れかける様に引っ張りそのまま座り込んだ。
青峰の後ろが壁だった為、尻餅はついたものの痛くはなかったが突然の事だったので黒子は文句の一つでも言いたくなる。
「あちぃーなぁー…テツぅ」
「じゃあ離して下さい」
「無理だなー」
だって離れたくねぇもん、と呟いて黒子の肩に顔を埋める。
そんな青峰にさっきまでの暑さなんか吹っ飛び、かわりに小さな溜息が漏れた。
溜息を吐けば幸せが逃げるというが、幸せで出てしまった溜息はどうなってしまうのだろうか。
「帰り…シェイク奢って下さいね」
「へーへー」
後少しの休憩だから暑くても許してあげよう。
今はなによりこの暑い青峰の体温がとても心地よく感じるのだから。
‐END‐