「ご、ごめん、黒子君!本当にごめんっ!!」
「いえ、いいんですよ」
部活のない放課後。
黒子は別クラスの青峰を迎えに行った。
いつもは放課後になればすぐに黒子のクラスにやってくるのに、いつまでたっても来る気配がなかったので黒子から青峰のクラスへ行けば青峰が居なかった。
丁度まだ日直で残っていた桜井に聞いてみれば、六限目から居なかったと言う。
すぐに探しに行こうと思えば、桜井がいつもの如く謝ってばかりいて話が進まなかった。
桜井とは一年で同じレギュラーでもある為、よく話すし仲はいいのだがこの謝り癖だけは黒子はどうも苦手だ。
「あ、桜井君」
「え、な、何?」
「桜井君って確か料理得意でしたよね」
「うん」
「よかったら今度、弁当作り方教えてくれませんか?」
「え!」
突然の黒子の頼みに思わず大きな声が出てしまう。
その驚きように首を傾げる黒子を見て、みるみる桜井の顔が赤くなっていった。
桜井も密かに黒子に想いを寄せているのだ。
黒子の頼みに嫌だと言えるわけもなく、縦にブンブンと思いっきり振ればくすりと笑われた。
その滅多に見せない黒子の表情の変化に余計に顔が赤くなってしまう。
「ぼ、僕でよければ…」
「有難うございます」
「何がだ?」
「うわぁっ!青峰さん!!」
「…大輝君」
急に二人の間に割って入ったのは、黒子が探していた青峰だった。
黒子の首に手を回し、後ろから抱き付く青峰に黒子は、やめて下さい、と言うが聞く耳持たずで。
「何話してたんだよ」
「桜井君に料理を教えてもらうんです」
「料理だぁ?」
「弁当、ワンパターンになってきたので」
「…別に今のままでいいって」
黒子の言葉に青峰の機嫌が一気に落ちたのが見ていてすぐに分かった。
桜井が思わず後退りをしてしまったのも仕方無い、という程に顔が怖い。
けれど流石ずっと一緒に居るからか黒子は慣れたもので、よくないです、と反抗した。
黒子は分かっていないのだ。桜井が黒子に好意を寄せているから料理を教える為とはいえ、二人きりになんかしたくないという青峰の気持ちが。
「じゃ、俺もそれに参加する」
「大輝君、料理なんかしないでしょう?」
「味見役だよ、味見役」
「そんな役割要りません」
「…テツ」
キッパリと言っていた黒子がピクリと肩を震わせる。
青峰のすがる様に自分の名を呼ぶ声に弱いのだ。
はぁ、と呆れを込めた溜め息を吐いて、仕方ないですね、と呟き桜井に青峰も付き添っていいか尋ねる。
折角、黒子と二人きりになれると思ったのに、とは思ったが桜井を睨む青峰が怖い。眼だけで殺されそうだ。
「くれぐれも邪魔はしないで下さいね」
「わぁかってるって」
バカップル?
うん、知ってる