※中3青黒
「前から思ってたんだけどよ、」
高校入ったらそれ止めろよ、と青峰に言われ意味がわからず黒子は首を傾げる。
「青峰君、それって言われても意味がわかりません」
「だからソレ、だ」
「は?」
「青峰君っつーの止めろ」
下の名前で呼べよ、と言われ、あぁ確かに、と少し納得した。
元々、黒子はどれだけ親しい友達や仲間でも名字呼びだ。
黒子にとって青峰は相棒であり恋人でもあり、謂わば一番大切な人で。
今まで下の名前で呼ばなかった方がおかしかったのかもしれない。
青峰は出逢ったその日から、テツ、と呼んでいるし多分この先そう呼ぶ人は青峰だけだと黒子は思っている。
「というか、今更ですね」
「いーんだよ。で、呼ぶよな」
「まぁ、いいですけど」
この帝光中学だとライバルが多すぎて、青峰にだけ下の名前で呼んでいると自分も呼んで欲しいと言いかねない。
ライバルというのは勿論、キセキの世代達だ。彼らは黒子を溺愛しているし、今でも青峰と黒子が恋人同士だなんて認めていない。
幸い高校ではキセキの世代達が各々違う高校に通う。
黒子ラブな自分の幼馴染みは青峰と黒子と同じ高校だから油断は出来ないが、ライバルが減っただけマシだと青峰は思った。
「じゃ、一回呼んでみろよ」
「…別に用もないんですから」
「いいから、ほら」
テツ、と優しく甘く囁く青峰に心の中で、狡い人だ、と呟く。
「…大輝、君」
「お、…っ」
名前を呼ばれ嬉しそうに返事をする青峰に、黒子は不意打ちとばかりに軽く唇を重ねた。
驚きに目を見開いたが青峰はすぐに離れようとした黒子の後頭部を掴み、深い口付けに変える。
仕掛けたのは自分だがそうくるとは思わなかった黒子はビクリ、と一瞬驚きに肩を震わせたが青峰の口付けに応える様に胸元の服を掴んだ。
「ん…はっ、ぁ…大輝君の馬鹿っ…」
「先に仕掛けたのはテツだろ?」
「そ、うです…けど」
なんだか余裕そうな君が腹立ちます、と少し不機嫌を露にする黒子に苦笑を漏らす。
「俺だって余裕なんかねぇよ」
ほら、と言ってぎゅっと抱きしめられれば自分と同じ速さの鼓動が聞こえた。
愛しいから
名前を呼んで