「先輩って木吉先輩と付き合ってんすか?」
「は?」
「ん?」
部活終わりに少し話があると火神に呼び止められた日向と木吉は、突然の質問に固まる。
しかしすぐに日向は不機嫌そうな顔になり、木吉は逆に嬉しそうな顔を向けた。
「そう見えるか?それだったら嬉しいなぁ」
「んな訳あるか!つーか、近付くな触んなっ!」
デレデレとした顔のまま日向の肩に手を回しくっつく木吉から、必死に離れようとするも木吉の大きな手にガッシリと肩を掴まれ敵わなかった。
けれどそれを見ていた火神が二人に近付くと、木吉を日向から引き剥がし今度は火神が日向の肩に手を回し抱きしめる。
「ちょ、火神っ!?」
「何してるんだ火神」
「二人が付き合ってないんなら俺にもチャンスはあるってワケだ、ですよ」
日向が何がだと叫び顔を上げた所で火神に口付けられる。
唇が離れると状況が追い付かず顔を真っ赤にし固まった日向をまた抱きしめ、木吉に挑戦的な目線を寄越す。
「俺本気でいくっす」
「…上等」
火神の挑戦を受け取りニヤリと笑った木吉も負けじと、日向の腕を掴み引き寄せる。
すぐに火神が力を入れたので此方に引き寄せる事は出来なかったが、少し火神から離れた日向の顎を掴み軽く口付けた。
「〜〜っちょ、な、なにっ!?!?」
「俺も火神も日向が好きって事だよ」
「手加減しねぇから、です」
口をぱくぱくさせて慌てる日向をよそに、火神と木吉はヒートアップする。
「とりあえず日向を離そうか、火神」
「嫌だ、です。木吉先輩の用は済んだんで帰っていいっすよ」
「いやいや俺、日向と帰るから」
「俺が送るんでいい、です」
初めはどっちが一緒に帰るかで言い争いしていたが、日向まで巻き込みどっちのキスがよかったのか問い出す始末だ。
(俺の意見は無視かよっ!)
日向がキレて二人を殴るまで、あと…
これだけは譲れない