「有り得ねぇ…」

「は?」


あ、なんかムカツク。
こっちの気も知らずに首を傾げてくる所とか、今なら日向のどんな仕草も誘っている様にしか見えない。



日向の所の誠凛高校の部活が午前で終わると聞いていたので、午後に日向の家に行く、と連絡をいれて向かった。

日向の家には両親が共に丁度居なくて(旅行中だとかなんとか…)泊まり道具を持って、合鍵を使ってお邪魔した。(そこまではいい)

日向、と呼ぶと風呂場の方から、はいはい、と言って日向が出てきたかと思えば上半身裸で下はバスタオルを巻いてそれだけの格好で、出てきた。(それが有り得ねぇ…)


「早く服着ろよ」

「待てよ。まだ暑いんだって」

「俺の気の変わらない内に早く着替えるんだな」

「はぁ?」

「ほら…」


いーち、と数を数えていきながら日向に一歩一歩近付いていく。

意味が判ってないのか、おい何なんだよ急に、等と文句を言ってる間に日向の目の前まで近付いた。


「花、宮…?」

「お前が悪いんだからな」

「はあ?…ちょ、っ」


訝しげな表情を向ける日向だけれど後ろは壁で両側に手をついて、逃げれないようにした。

両側についた手と目の前にある俺の顔を交互に見て慌てる日向に、ニヤリと笑みを向ける。


「待っ、その、此処じゃ…嫌、だっ」

「ふーん、此処じゃなかったらいいんだな」

「うわっ!」


眉を寄せて頬を赤らめて言う日向の腕を掴んで、すぐ隣の洗面所へ入る。

バタン、とドアを閉めた所で日向の唇に唇を落とすと後ろへ後ずさろうとしたので、逃がさない様に腰に手を回した。


「ふぁ…っ花、宮…」

「廊下じゃ、嫌、だったんだろ?」

「だからって、ん…こんな、所」

「お前の部屋まで我慢出来ねぇっつーの」


欲の混じった瞳でそう訴えれば観念したのか、ダアホ、と呟きながらも俺の胸元の服を掴んできた。

とりあえず、お互いの熱が冷めない内にもう一度、唇を重ねた。




君の全てに欲情します

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