「俺はネコ派なんだがな…」
イヌ派かネコ派か、と聞かれたら即座に答えれる程だ。(犬も嫌いじゃねぇけど)
俺がポツリと呟くも、俺の膝を枕にし腰に手を回してしがみついている火神は無反応だった。
どうやらグッスリと眠っているみたいだ。
今日は日曜で午前だけの部活だったので、部活終わりに火神の家にお邪魔した。
火神は一人暮らしだから勿論、二人きりで俺たちは所謂恋人同士だから少しは緊張していた。のに。
お昼ご飯を食べて後片付けが終わった後、疲れた、と言って勝手に人の膝を枕に使ったかと思ったらものの数分で寝息が聞こえた。(…おいっ)
「お、そーだっ」
ごそりとズボンのポケットから携帯を取り出しカメラモードに切り替える。(よしよし…)
ピロ〜ン
撮ったのは勿論、火神の寝顔だ。
いい感じに撮れていたので保存をしようとボタンを押した所で、携帯を持っている方の手首を掴まれた。
「…何してんだ…ですか」
「何ってお前の寝顔を撮った」
「……ふーん」
「あ、こらっ!」
まだ寝惚けているのか眉を寄せて眠たそうな目をした火神は俺から携帯を素早く奪うと、ポイッと放り投げた。
丁度放り投げた方向がベッドの方で運良くベッドの上にぼすりと着地はしたけれど、心配だったので取りに行こうとすれば腰に回した手に力を込められた。(ちょ)(苦しいっ…!)
「おいっ、バカガミ!」
「どこ行くんスか…?」
「携帯取りに行くだけだっつの」
「後で…いいじゃねぇ…か…」
此処に居ろ、と余程眠いのか何時もの変な敬語も出来ない程になっている。
それにちょっと、ときめいてしまったのは絶対言わない。
しかもスリスリと膝に頬を擦り寄せ、腹部に顔を埋めてくる。(くすぐってぇよ…)
「火神ー」
「んー…」
「バカガミー」
「んー…」
「おやすみ」
よしよしと頭を撫でてやるとニヘラと顔が緩んだ。(なんつーか、なぁ…)
火神を見ていると大型犬を連想してしまう。
「俺…ネコ派だったんだがなぁ」
犬も悪くないかもしれない、と一つ溜め息を溢した。
わんわんお!
(虎と云うより大型犬)