「ほんま好きやねんなぁ」
え、と声が漏れた瞬間に景色が変わり、天井と今吉さんしか見えなくなった時に漸くこの目の前の人に押し倒されたのかと理解した。(どうしてこうなった…っ!)
今日は部活も休みの休日で、恋人である今吉さんも部活が休みだと言っていたので俺の家に遊びに来ていた。
初めて俺の家に来た今吉さんはベッドに座りながら、キョロキョロと俺の部屋を色々と見ていた。
「戦国好きなん?」
「えぇ、まあ」
「へぇ〜」
今吉さんの隣に座り、様子を伺っていると棚に置いてあるズラリと並んだ戦国武将のフィギュアをまじまじと見ていた。
端からフィギュアを指差して、あれは何なん?、と順番に聞かれたのでつい夢中になって答えてしまったのには少し、恥ずかしかった。
その後、フィギュアから視線を巡らせ壁に貼ってあった猫の写真数枚にクスクス笑いながら、猫好きなんやなぁ、と言われて思わず顔が赤くなってしまう。
そして恥ずかしさに俯いた所で冒頭の台詞があり、押し倒されたのだ。
しかし、これは、どうしたらいいのだろうか。
身動きをとろうにも両手はがっちりホールドされているし、足と足の間に今吉さんの体が入ってきたからこれでは動けない。
「あ、あの、今吉さん…?」
「んー?どないしたん?」
この状況でその台詞が出るのか。
人が焦っているのに今吉さんはニコニコと(いや、ニヤニヤ?)笑顔のままで、正直、怖い。(変な汗出る…)
思わず視線を逸らそうとしたけれど、こっち向けや、と囁かれたので視線も外せない。
「俺とアレ、どっちが好きや?」
「……は?」
アレ、と言われても意味が分からなくて固まってしまうと、フィギュアの事な、と言われた。(フィギュア…?)
何で今吉さんと戦国武将のフィギュアを比べなければいけないのだろうか。
戦国武将は好きだけれど、また違う意味の好きだし比べるモノではない、と思う。(…、もしかして)
「ヤキモチ、ですか?」
その言葉を紡ぐと、フッと笑みを浮かべた今吉さんが近付いてきて噛み付くように唇を塞がれた。
それは肯定と思っていいですか一万打リク