「おいテツ、トリックオアトリート」


テツの前に手を出して言えば、呆れた顔をして俺の手を叩いた。(地味に痛ぇ!)


「僕何も持ってないですよ、だから青峰君が下さい。トリックオアトリートです」

「あー?しゃあねぇ、ほら」


俺の前に出したテツの手の平にバニラ味のキャンディーを一つ転がす。
テツは俺から貰えるとは思ってなかったのか驚いた表情で飴を見つめていた。


「用意してたんですか」

「一応な。て、事でテツ」

「…はい?」

「トリックオアトリート!」


貰った飴を舐めているテツの前にまた手を出すと、首を傾げられた。
もう一度あの言葉を言うと前と同じ様に手を叩こうとしたから、それをヒラリとかわしてテツの手を掴む。(へっ、ざまぁみろ)


「…青峰君?」

「トリックオアトリートだっての、テツ」

「ですからお菓子は…」

「じゃ、悪戯すんぞ?」


掴んだ手をそのままに、もう片方の手でテツの顎を掴み上へ上げる。
俺のしようとした事が判ったのか、掴まれてない方の手で俺の胸元を押してきた。


「ちょ、青峰、くんっ!」

「大人しくしろ、テツ」

「ぁ、ん…っ」


噛み付く様に口付けて、舌を入れテツの舌と絡ませる。
飴が絡まりバニラ味が広がり存分にテツの口内を楽しんだ後唇を放すと、力が抜けたのかテツが俺の胸元に頭を預けた。


「卑怯です、よ…」

「なぁに言ってんだよ、テツ。言っただろ?」



トリックオアトリート?
(悪戯かお菓子…ってな)




悪戯するぞ
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