部活帰り、珍しく恋人であるテツと二人きりで帰る事になった。(いつもは)(さつきとか黄瀬とか緑間とかいるし…)
折角の二人きりだったから、そのままテツと別れるのは惜しかったので俺の家に招いたらあっさりOKが貰えた。(ちったぁ、意識しろよ)
途中、マジバのバニラシェイクが飲みたいとテツが言ったから立ち寄る。(ホント好きだな)
シェイクなんか腹の足しにもならないから俺はバーガーを頼んで、歩きながら食べた。
「相変わらず汚いですね」
「いいんだよ寝れりゃ」
「……まあ、いいですけど」
「ほら座れよ、テツ」
ベッドに凭れる形で床に座り、隣をバンバンと叩いてテツを呼ぶと素直に隣に座った。
テツが座った時、ふわりとテツから甘い匂いがした。
不思議に思ってテツを見つめてると目が合い、首を傾げられた。(可愛い奴め)
「なんですか?」
「なぁんかテツから甘ぇ匂いする」
「…そうですか?汗臭いと思うんですが」
「んーー…」
ブラウスの襟元を掴んで自分の匂いを嗅いでいるテツの手を掴んで、テツの頬をベロリと舐めてみる。(あ、)
「な、何するんで‥」
「甘ぇ」
「は?甘いわけないでしょう?」
馬鹿ですか、と付け加えられて溜め息までつかれた。(このやろ)
腹が立ったから今度は首筋を舐めて、痕が残る位咬んでみる。(やっぱ甘ぇよなぁ)
「いってぇ!テツ、てめぇ‥っ」
「いい加減にして下さいっ」
咬んだ痕をジッ、と見ていると横っ腹を思いっきり殴られた。(容赦ねぇな!)
「ていうか、甘いって何なんですか?やっぱ頭、大丈夫ですか?」
「やっぱって何だよ、やっぱって……いや、なんかバニラみてぇな?」
どんな甘さか考えてみればテツがよく飲むバニラシェイクの様な感じだった。
けれど信じてもらえず眉を寄せて訝しげに人を睨む。
「お前シェイクの飲み過ぎでバニラ味が染み付いたんじゃねぇの?」
「まだ言いますか…」
はぁ、とまた溜め息を吐くテツをよそに未だに掴んだままの手を引いて、自分の方に引き寄せた。
「ちょっと、青峰君!?」
驚いて俺から離れようとするけれど、そうはさせまいと力を込める。
「く、苦しいです…」
「いいから、テツ…」
丁度目の前にあった耳たぶを甘噛みするとテツの肩が微かに揺れ、それに満足する。
「お前は俺に喰われてろ」
甘い、甘い君