お前は俺と云う光から逃れられないんだ

だから早く俺の元へ堕ちて来いよ



―――



自分の力が開花してからあんなに楽しかったバスケが詰まらなくなった。
点差が広がれば広がる程、対戦相手はやる気を無くす。(そんなバスケなんか)(糞食らえ!)


「俺に勝てるのは、オレだけだ」


そう感じてからテツとの距離も一気に遠くなった。
俺はテツも隣を歩いてくれてると思ってたのに(だって俺とテツは光と影だ)(二人で一つ…なんだろ?)

なのにテツは俺の前から消えて、見付かったと思ったらテツは新しい光を見付けていた。(俺が、居るのに?)


「なぁ、テツ…目ぇ醒ませよ」


新しい光は昔の俺にソックリだった。(なぁそれがどういう事か)(わかってんのかよ、テツ…)


「青峰、くん…」

「お前の光は俺だけ、だろ?」

「今は…違います」

「違わねぇよ。お前は俺のモンだ」


ビクリ、とテツの肩が揺れる。
ゆっくりと距離を縮めてテツの頬に触れると、動揺した瞳と目が合った。


「俺の傍に来いよ」

「…っ何を‥」

「テツの力を引き出せてやれんのは俺だけだ」

「そんな事は…っ」

「俺についてこれんのは影であるお前だけだ、テツ」


その言葉にポロリと一粒の涙が零れる。(綺麗だ)
まるで俺とテツ、二人だけの世界になったかの様で酷く心地好かった。


「貴方から…離れたクセに…っ」

「離れてねぇよ。お前がついて来なかっただけだ」

「青峰…君」

「今度は離さねぇ。お前も影なら光を見失うな」


自分でも自分勝手で俺様な発言だと思う。
だけどこうしないとテツはついて来ない。(テツも頑固だからなぁ)

ポロポロと零れる涙を舐めて抱きしめる。
テツは抵抗もせずにそろりと俺の背に手を回した。(あぁ)(なんて可愛い奴…)


「テツ、愛してる」


テツは否定も肯定もせずに、ただ一言


「…狡い人ですね」


と、呟いた。




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