「テツヤ」

「赤司君、どうしました?」


部活のない放課後に、自主練をする前に少し図書室で本を読もうと思い端の窓際で本を読んでいた。

すると隣に誰か人が立っていて、顔を上げて見てみれば赤司君だった。(何なのでしょうか…?)

赤司君は眉を寄せて不機嫌そうな表情を露にしている。(…あぁ、でも)

そういえば今日は朝から不機嫌そうで黄瀬君や青峰君に当たってたな、と思い出していると隣の椅子をピッタリと僕が座っている椅子にくっつけて座ってきた。(……)(狭いんです、けど)


「あの、赤司君?」


窓際に座っている為、反対側は壁で少し窮屈だ。

どうしたのだろうか、と思い赤司君の顔を伺おうとした所で肩に赤司君の頭が乗っかって、きた。(……)


「あの、」

「テツヤ」

「何ですか?」

「僕は眠いんだ」

「……はい?」


急に口を開いたかと思えば何を言い出すのだ。(眠いって…)

困惑する僕をよそに既に瞳を閉じている赤司君は、どうやら僕の肩を枕にして昼寝をする事を決めたらしい。


「赤司君、自主練に行きたいのですが」

「そんなの知らないよ」

「……赤司君」

「テツヤ、」


おやすみ、と会話を強制的に終了されて思わず溜め息が出てしまった。(はぁ…)

仕方がないので今日は自主練を止めて、手に持っている読み終わってしまった本をもう一度読み直す事にした。

すぐに聞こえてきた規則正しい寝息に朝から不機嫌そうだったのは寝不足だったからか、と一人納得する。

肩から伝わる体温にむず痒い気持ちが溢れ出て、チラリと赤司君が寝てるのを確認してからサラリと赤司君の髪を撫でてみた。


「ん……、」

「、っ」


サラサラと髪を撫でているとまるで猫みたいに肩に頭を擦り寄せてきて、思わず胸が高鳴った。


(これは…)
(ちょっと、可愛い、かもしれません)


あまりにも貴重な赤司君に、思わず携帯のカメラで撮ってしまった事は内緒にしておこう。




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