※赤司in誠凛




「カントク、休憩を少しもらいたい」


もうすぐで試合がある、という事で気合いを入れて部活練習に励んでいる時にカントクであるリコの元へ赤司がそう告げてきた。

傍には黒子もいて赤司と手を繋いでいる。赤司に無理矢理連れてこられたのだろう。


「休憩はまだ先よ」

「じゃあ僕らだけ先にもらいます」

「ちょ、ちょっと待ちなさいっ!」

「何ですか?」


何ですか、じゃない。
きっと練習をしている面子もそう思っただろうが、赤司は気にした様子もなく首を傾げる。


「貴方たちだけ特別、だなんて駄目」

「…カントク」

「な、何…」

「一応、貴女がカントクであるから休憩をもらいたいと告げたが僕の言う事には従ってもらいたい」

「なっ!」


ふぅ、と溜め息を吐きリコをジッと見据える。
流石、キセキの世代の一人であり帝光中学のキャプテンを努めていただけある、といえるだろうか。

有無を言わせない迫力にリコは一瞬怯むが、そんな二人の間に誰かが割って入る。
その人物は先程からずっと赤司に手を繋がれている黒子だった。


「赤司君、我が儘はいけません」

「何いってるの?僕はテツヤに無理をさせない為に休憩をもらいたいだけなんだ」

「僕なら大丈夫ですから」

「テツヤ。僕が駄目と言ったら駄目だ」


こうなってはもう止まらない、と思ったのだろう。
はぁ、と溜め息を吐いて黒子はリコに向かい、すみません、と告げる。


「お前っ、我が儘ばっか言ってんなよ!」

「我が儘?」


しかし火神が横から怒り狂った表情を露にし赤司に食って掛かった。

ついでとばかりに黒子を赤司から引き剥がす。が、その瞬間、赤司の纏う空気が冷ややかなものに変わった。


「触るな」

「は?」

「テツヤに気安く触るな、と言ったんだ」

「なんだ、〜〜っどわ!」


火神が全てを言い終わる前に、火神の顔面目掛けて拳が飛んでくる。

寸での所で避けれたものの避けた時に黒子と離れた為、気付いた時には黒子は赤司に手を引っ張られ引き寄せられていた。


「あっ、ぶねぇ…テメェっ!」

「待って下さい」


赤司の行動に限界を向かえた火神が赤司に一歩近付いた時、二人の間にいち早く黒子が入っていった。

その瞬間、赤司と火神の纏っていた険悪な雰囲気がなくなる。
周りの面子ももう見守る事しか出来ず、早くこの状況をどうにかしろと言わんばかりだ。


「火神君、赤司君の事なら僕が変わりに謝りますので、今回はすみませんが赤司君の言う通りにさせて下さい」

「…黒子。はぁ…カントクがいいなら」

「カントク、休憩いただいていいですか?」

「…いいわ、但し今回だけよ」

「有難うございます。さ、行きましょう、赤司君」


リコにぺこりと頭を下げた後、赤司の手を引っ張り体育館を出ていく。

そんな二人を見送って一同、重い溜め息を吐いた後各々、練習に戻った。




迷惑?いいえ、もう呆れてます
一万打リク

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