「今度の日曜、どこ行きたいか考えとけよ」


部活のない久々の休みに何をしようかと考えていると冒頭の言葉を突然、青峰君に言われた。(何処か行く事は決定なんですね…)

勝手に行き先まで決められてないだけいいか、と思い青峰君と何処に行こうか考える。(うーん…)



―――



青峰君が放ったバスケットボールは綺麗な曲線を描いて、どこにも当たらずゴールに入る。

そして落ちてきたボールを片手で拾いダムダムといい音を立ててドリブルをして、少し不機嫌な表情を露にして此方を見つめてきた。


「…大丈夫か?」

「はい、なんとか…」


先日どこ行きたいか、と言われて出た答えがバスケがしたい、だった。

学校は使えないので近所にあったバスケットゴールのある広場に行く事になった。
その広場は小さくて利用する人も少ないいい場所だったが、もちろんの事屋外で、元々体力もない僕が体力尽きて倒れるのは時間の問題だった。


「俺ん家行くか?このまま居ても辛いだけだろ」

「いえ、もう少しだけ…」

「はぁ…ちょっと待ってろ」


呆れた溜め息を吐いて、持っていたボールを僕に渡し何処かへ走っていった。




頭がふらついていたのでベンチに横になり目を瞑って待っていると、急に額にヒヤリと冷たいモノが当たり驚いて目を開ける。


「ほらよ、ポカリ」

「あ、すみません」


起き上がりポカリを受け取ろうとしたら、僕の手には渡らずピトリと今度は頬に当てられた。(冷たい…というか)


「気持ち、いい…」

「…やっぱな」


はぁ、とまた溜め息を吐かれ僕が無理をしていた事がすぐにバレてしまった。


「つーか、折角の休みなのに何でバスケなんだよ」

「えっ、と…」

「色気ねぇよなー…」

「男の僕にそんなの求めないで下さいよ」


ムッとしてそう言うと笑われた。(失礼な)


「…何処に行きたいかとか、急に言われても困りますよ」

「ま、そっか」

「それに…バスケしてる青峰君を見るのが好きなんです」


どんな青峰君でも好きだけれど、大好きなバスケをしている時の青峰君が一番輝いていて好きだなぁ、と実感してしまう。

その言葉に嬉しそうに柔らかく微笑んでくれて(僕まで)(嬉しい…だなんて)


「よし、じゃ、マジバ行こうぜ」

「…バニラシェイク」

「ははっ、テツ本当に好きだよな」


渡されたポカリを鞄にしまって立ち上がるとまだ体調がよくなかったのか、フラリと体がよろける。

けれどそれに気付いた青峰君が笑って手を握ってくれて、何事もなかったかの様に歩き出してくれた。


(温かい、手…)



光へと導いてくれる君と
2500hitリク

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