ドロドロに溶けて光も影もわからないくらい、まるで初めから一つのモノだったらよかった。


けれどそうなったらお前を愛する事も出来ないし告げる事も出来ないし、触れ合う事も出来ない。


そんな矛盾が頭の中をグチャグチャにかき混ぜるから、何もかも考えるのがめんどくさくなってどうにか想いをぶつけたくて強引に唇を奪う。


「青峰、君…」

「…テツ」


テツが俺の名を呼ぶ。
たったそれだけで自分の名前が特別なモノに感じてまた愛しい想いが溢れて、あぁやっぱりこのまま溶けて交じりたい、と思う。


「テツ、好きだ…」

「ん…僕も、好きです、よ…」


何度も角度を変えて深く舌を絡ませて息をするのも惜しくて、いっその事お互いがお互いの息をすって生きていけたらいいのに、なんて馬鹿げた事を考える。


あぁ、でもテツが居なくなったら生きていけない体になりたい。


「このまま一緒に死ねたらいいのに、な…」

「何言ってるんですか」


まだまだいっぱい想い出を作りましょう、と柔らかく微笑むもんだから堪らず抱きしめる。

ぎゅうぎゅう、抱きしめてこのまま一つになれたらいいのに、とまたくだらない事を考えたけどテツが

「…苦しいです」

と、呟いたのに意識が正常に戻される。


一つになってしまったらテツの声も聞けないし色んな表情が見れないしキスをする事も、抱きしめる事も出来ないんだ。(それは)(勿体ねぇな…)


「このまま一つになれたらいいのにな…」


なんて、と冗談混じりに呟いてテツの表情を伺うと一瞬キョトリと目を見開くもすぐにいつもの無表情に変わって、


「それもいいですね」


と言うもんだから、嬉しいのか哀しいのかよくわからない涙が溢れてしまった。


(…あぁ)
(もう何も考えれねぇ位)

(混じり合えたらいいのに…)




一つになりたい

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