(おっ…)


真ちゃんよりも先に黒子を見つけられたと思い嬉しくて、思わず顔がにやけそうになった。

けれど俺が口を開くよりも先に真ちゃんが、黒子、と呼んで思わず固まってしまう。(……なんで?)


「緑間君、高尾君」

「今帰りか」

「はい」

「どうせ今からマジバにでも寄るのだろ」


固まる俺を置いて二人で会話を広げる二人。

そしてマジバに行くという黒子に真ちゃんが俺もついでに行くとか言い出した。(…早く帰りたいっつったじゃん)

いつまでも固まったままでいる俺に黒子が声をかけてくれ、俺もマジバについて行く事にした。(真ちゃんに睨まれたけど)(知らね)



「奢ってやる」

「いいんですか?」

「どうせシェイクだけだろう?」

「はい」

「なら奢ってやるのだよ」


(どんだけ上から目線…)
因みに俺には?、と聞いたら自分で買えと言われてしまった。(この扱いの差!)

先に場所を取りに行ってくれた黒子を見送って、真ちゃんへ視線をおくる。


「なんだ?」

「いや…なんで黒子がいるのわかったの?」

「お前は馬鹿か」

「はあ?」


俺の質問に応えるより先に訝しげな視線を向けられ、溜め息まで吐かれた。

そして黒子へと視線を送った真ちゃんの瞳は嫌な程俺が黒子へ向けるモノと同じで、吐き気がした。


「意識してミスディレクションをかけられてなければ、黒子を見つける事など容易いのだよ」


まあそれはアイツ等も同じだろうがな、と呟いた真ちゃんは少し不機嫌だった。(アイツ等って…)(キセキしかいねぇーし)

それにしても、つまらない。

どんな時でも黒子を見つけれるのは俺だけだと、そう、思ってたのに。


「やらんぞ」

「は…?」


真ちゃんの言葉に視線を向けるも、会話は終わったとばかりに背を向けられた。(やらん、って…)(はいそーですか、なんて言えるかよ)


「上等だよ」


思わず出た言葉にたまらず口許がにやけてしまった。


(障害ある恋の方が)
(燃えるっしょ!)




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