好きだ、と気付いた時にはもう既に遅い恋で。所謂、失恋だという事。
けれど終わる事なんか出来なくて想いばかりが溢れていって、諦められなくて悲しくて辛くて苦しくてでもやっぱり、好きでどうしようもない(…悪循環)
「なぁーんで、真ちゃんがいいのさ」
だなんて心の呟きが思わず出てしまった。その声色は自分でもわかる程、不満気で不愉快なモノで自分でも驚いたけれど顔には出さず相手の様子を伺う。
けれど目の前に居る俺の叶わない片想いの相手、黒子テツヤはいつもの無表情を崩さず小さく首を傾げるだけだった。(その仕草も可愛いとか…)(俺ってば末期じゃん)
「んー…緑間君だから、じゃないですかね」
「…なにそれ意味わかんね」
「まあ、わかってもらおうとは思ってませんから」
そう言った黒子は俺から視線を外し、注文する為にレジで並んでいる真ちゃんを見つめる。
それが面白くなくてムスリと眉を寄せ俺も真ちゃんを睨むも、アイツは此方を見向きもせず余計に腹が立った。ラッキーアイテムであるクマのぬいぐるみが此方を向いてるのがまたムカつく。(ラッキーアイテムなんか落としちまえ)
「俺と居る方が面白いと思うんだけど」
「…」
「俺なら色んなトコ連れてってやるし」
「はあ」
「俺はどんな時でもお前を見つけれるし」
「まぁ、そうですね」
じゃあ何が足りないんだろうか。
「黒子」
「おかえりなさい、緑間君」
「バニラシェイクなのだよ」
「有難うございます」
(あーぁ…)(もっと二人で居たかったのに)
注文から戻ってきた真ちゃんは黒子にバニラシェイクを渡し、黒子の隣に座ったあとグダグダとバニラシェイクばかり飲みすぎだとか毎日飲んでいるのではないのかだとか言葉を並べていった。(小姑か)
そんな緑間に対し黒子は、はぁ、だとか短い返事を返すだけだけれどどうしても俺は二人の会話に割り込めなかった。のに。
「あまり見るな」
「……は?」
「黒子に穴があいたらどうするのだよ」
(…空かねぇよ)
そんなに見つめていたのだろうか。けれど、真ちゃんの機嫌はすこぶる悪くなっているので俺は相当、黒子の事を見つめていたらしい。(無意識って怖い)
「なぁ、真ちゃん」
「……なんだ」
「黒子ちょーだいよ」
「何を馬鹿な事を言っているのだよ。黒子は物ではない」
「…んなもん、知ってんよ」
でも。
でも黒子は真ちゃんのモノじゃないか。
どれだけ俺が願っても頑張っても泣いても叫んでも、手を伸ばしても手に入らない黒子の心を真ちゃんは手に入れているじゃないか。
「俺にしとけばいーのに」
思わず出た言葉に涙が出そうになった。
どうやっても
手に入らない