「緑間君、お願いがあるのですが…」


放課後になり黒子を迎えにクラスへ向かえば突然そんな言葉を言われた。

しかも身長差があるせいで上目遣いで言われれば理由を聞かずに、いいぞと言ってしまいそうになる。(反則なのだよ…)


「一先ず歩きながら聞くのだよ」

「あ、そうですね」


このまま教室で聞いていると黒子に好意を寄せている者達がやってくる。(青峰とか桃井とか黄瀬とか…)(全く油断もない)

今日はテスト前という事で部活もないから恋人でもある黒子と放課後デートをしようと思っていたのだ。
邪魔が入られては困る。





「で、何なのだ?」

「あ、えっと…勉強を少し教えて欲しいんです」

「勉強を?」

「はい、ちょっとヤバい教科がありまして」


黒子がいうには今回、数学教師が平均点いかない奴は追試をすると言ったらしく今の黒子の成績だとギリギリらしい。

追試になれば部活に暫く出れなくなるのでそれは避けたいみたいだ。


「別に構わんが……そうだな」

「?」


俺は授業をちゃんと受けているし後は家で予習したらテストなんか何の問題もない。

だから教えてやってもいいのだけれど(可愛い恋人からのお願いだしな)、恋人だからこそ何かお礼が欲しかった。


「黒子からキスしてくれたら教えてやっても構わん」

「っな!?」

「出来んのか?」

「〜〜っ!」


ニヤリと笑ってやれば珍しく顔を真っ赤にして睨んできた。上目遣いで。(だから逆効果だというのだよ…)


黒子から視線を外して歩こうとした瞬間、ぐいっと腕を引っ張られた。

振り返ろうとしたら首元を両手で掴まれ思いっきり引っ張られ、抵抗する間もなく黒子にキスをされ思考が追い付かなかった。


「こ、これで…ちゃんと教えて下さいよっ?」

「お、まえ…っ」


立ち止まった俺の腕を引っ張り歩き出した黒子の表情は伺えなかったが、耳まで真っ赤にしていたから口許が緩んでしまった。(全く…)(黒子には敵わないのだよ)


「こんな事、俺以外にはするなよ?」

「しませんっ!」

「ならいいのだよ」




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