好きだ、とは言われた事はない。


だからか僕と青峰君の関係は酷く曖昧だ。



いつも傍に居てお互いの考えている事も分かるし、多分一番、自分の中で存在が大きいのは青峰君なのだろう。

それはきっと青峰君からしてもそうだと、僕は思っている。(自惚れとか、そんなのではなくて…)


そしてそんな青峰君に僕は恋愛感情として、好き、だと思う。



青峰君もそうだったらいいのに、なんて。




「ん、テツ」

「有難うございます」


夏の体育館は蒸し風呂みたいで体力ない僕は一時間もたたずにバテてしまった。

幸いにも倒れる前に僕の異変に気付いた青峰君が赤司君に言ってくれて、隅で休ませてもらえた。

そんな僕にスポーツドリンクを差し出してくれ、僕が受け取ると隣にドカリと青峰君が座ってきた。


「練習はいいんですか?」

「だってテツ居ねぇし、つまんねぇ」

「そんな事言って、本当はサボりたいだけでしょう?」

「ははっ、半分はな」


バスケ以外の趣味や好きなモノ、嫌いなモノとか気が合わない僕と青峰君なのにどうしてか青峰君の傍に居るのが居心地がいいと感じる。

こうして他愛ない会話しているだけでも僕は楽しいと思う。


「…青峰君」

「ん?どうした?」

「僕、青峰君の傍に居るのが好きです」

「…何だよ急に」

「いえ、何だか無性に言いたくなって」


想いが溢れて止まらない、というのだろうか。

気まずくなって沈黙を紛らわす様にスポーツドリンクに口をつけようとした所で、フッと前に影が出来た。

顔を上げると青峰君の顔が至近距離にあって、僕が後ろへ退く前に唇と唇が、触れた。


「あお、みね…くん」

「俺はお前が好きだ」

「〜〜っ!!」

「だからテツはずっと俺の傍に居ろよ」


ふわりと優しく微笑む青峰君に胸が高鳴って、

「青峰君こそ僕から離れないで下さいね」

と言えば、当たり前ぇだろ、と囁いてもう一度口付けを落としてくれた。



やっと僕と青峰君の関係が強く結ばれた気がする。




好き、以上の
言葉は要らない


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