この時をずっと、ずっと待っていた。
俺に勝つ為に新しい光を見つけて、俺に対抗しようとしたんだろうけどテツは何も変わっちゃいなかった。
新しい光は昔の俺にそっくりでしかもテツの力を全て引き出せてない、淡い光。
テツも昔と何も変わらず、そこが限界だと自分で決めつけたままで。(やっぱ…テツは)(俺だけの影だ)
だからテツの所の高校との試合をずっと待ち望んでいた。
俺と戦ってテツの光は俺しか居ないんだと知らしめてやるいい機会だった。
―――
第4Q、これで全てが終わって、そして(テツが帰ってくる)(嫌だって言っても、な)
点差も広がり、体力も尽きミスデレも切れそして唯一の淡い光もいない中、試合は終了した。
整列して挨拶を交わす。
桐皇学園は勝利に、誠凛高校は負けた悔しさに浸っており誰もテツの異変に気付けなかった。(俺だけ、しか)
「黒子君っ!?」
俺が一歩を踏み出そうとした瞬間に、異変に漸く気付いた誠凛のマネージャーが焦りの声を上げ皆が一斉にテツを見る。
体力の限界がきていたのだ。試合が終わり挨拶を済ませ気が緩んだのだろう。
グラリとテツの体が倒れそうになったのを受け止める。しっかりと。
周りは突然の事についていけず固まっている。(ま、外野は黙って見とけ)
「…テツ」
「ぅ、…青峰、君‥?」
「ったく、無茶しすぎだっての」
「すみま…せん」
一人で立っていられないのか離れようとはせずに凭れかかったから遠慮せずに、震える体を抱きしめた。
テツの体が強張ったのがわかったけれど気にせずしっかりと抱きしめる。
「テツ、帰ってこい」
「…駄目、です」
「お前も判っただろう?」
自分の帰る場所、と耳元で囁くと少し目を見開いたテツと視線が交わる。
その瞳は不安や焦り、困惑で溢れていたけれど微かな期待も混じっていた。
「青峰君、僕は…」
「もう離さねぇよ」
「青峰、君…」
「ずっと俺達は一緒だ」
その言葉にテツは静かに微笑み、そして安心した様に気を失った。
「おかえり…テツ」
交じり合った光と影