(大吉、か…)


新年を迎えて神社に行き定番のおみくじを引いてみると大吉が出た。

隣を見てみるとテツも丁度引いた後だったので覗いてみる。


「吉かよ」

「まぁ、凶を引くよりはいいじゃないですか」

「けど普通すぎて面白くねーな」

「君はおみくじに何を求めてるんですか」


どうせなら大凶が見てみたかった。(いや、でもテツに大凶は可哀想か)
大凶なんか見たことなくて自分で出すのは大体、大吉とか中吉、小吉、悪くて凶だ。

けど大吉が出たからといって今年良い事ばかりが起こるわけではないし、運が悪ければ良くない事が連続する日だってある。(ようは気の持ちようって事か)


「そだ、これテツにやる」

「え、いりません」

「おっ前なぁ、人の好意は有難くもらえっ!」

「好意だったんですか?」


折角、俺が大吉をやろうと言ってるのに即拒否した。
しかも凄く嫌そうな顔をして。(酷ぇ)

仕方がないので強引にテツの吉を奪って俺の大吉を握らせた。

奪った吉は取り返されない様にすぐに小さく畳んで財布の中にしまい込む。


「そんなに吉が欲しいんですか?」

「ばっ、違ぇよ!俺には吉位で丁度いいんだっつーの」

「意味がわかりません」

「ったく、判れよなぁ…俺の隣に勝利の女神がついてんだから大吉なんか要らねぇって事」


テツを指差してニヤリと笑えば一気に顔を真っ赤にさせた。(可愛い奴)

ペチリと手を叩かれ睨まれたけど全くもって迫力がない。(寧ろ煽ってる)


「ば、馬鹿ですか…」

「馬鹿で結構、結構〜」

「…けど」

「ん?」

「貴方が居るから僕は勝利へと導けるんでしょうね」


ジッと渡した大吉を見つめて少し嬉しそうな表情を見せ呟くテツが愛しくて、ここが外だとか関係なく抱きしめた。(あぁ、もうっ)(本当にヤベェ、嬉しい!)


「ちょ、青峰くん!?ここ外っ!」

「うるせぇ。煽るテツが悪ぃ」

「何ですかそれ…もう、仕方がない人ですね」


そう言ってすぐに許してくれるテツの優しさに何だか涙が出そうになった。



いつまでも傍に居て下さい

「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -