委員会が大好きです
「あ! 春先輩!」

「おー、団蔵。どうした?」

「潮江先輩からの伝言で、今日は夕餉の後に委員会を始めるそうです」

「ん、わかった。ありがとね、団蔵」

委員会かー、計算ちょっと苦手なんだよね。
なんで会計に入ったんだよってよく言われるけど、ただ単にもんじ先輩がいたからなんだよねぇ。

「委員会のためにも、しっかり食べとこ!」

おばちゃんに多めに入れてもらうように言おうっと。


***



かなり早い時間に部屋に来ちゃったなあ。
きっとこの時間だと誰もいないよね。

「いっちばんのりーっと、お? 団蔵早いね」

「春先輩! 僕、字が下手なんで、先輩方が来る前に練習しようと思ったんです!」

このとおり。
と団蔵が苦笑いで見せたのは言っては悪いが、ミミズがのたくったような字だった。

「ありゃ。これはまた、威勢のいい字だね」

「いつも先輩方に迷惑をかけてしまっているので、せめて読めるような字にしようと思ったんです」

「そっか、団蔵は偉いなぁ」

頭をかき混ぜるように撫でると、団蔵が嬉しそうに笑った。
さて、おれも少し勉強でもしてようかな。

しばらく教科書とにらめっこをしていて、ふと団蔵の様子を見ていると、ちょっと引っかかることがあった。

「団蔵。筆が安定しなくてあのにょろにょろした字になるんじゃない? こう持つと、ほら。前より安定する」

団蔵の手に自分の手を重ねて教える。

「本当だ! ちょっと綺麗になった気がする! ありがとうございます、春先輩!」

「よかったよかった」

団蔵は可愛いなぁ。素直で、元気で、頑張り屋さんだ。弟がいたらこんな感じなのかなぁ。

「あ、そうだ。団蔵、これあげる」

「わぁ! 金平糖だ! いいんですか?」

はっちゃんにちょっと貰っておいたんだ。委員会に行ってくるって言ったらくれた。

「うん。団蔵はいい子だからね。ご褒美だよ」

やったー! と笑う団蔵の手に金平糖をのせる。みんなにもあげよう。あ、でももんじ先輩は受け取ってくれないかもしれない。ギンギンに忍者してる人だから。

「逢川先輩。今日は早いんですね」
「左吉だ〜。珍しいこともあるでしょ〜」

左吉がきた。あは、少し驚いてるや。まぁ、いつも最後にくるからなぁ、無理もないよね。
左吉に抱きつくと団蔵がずるい! というので、二人まとめて抱きしめた。おれの後輩可愛いわ〜。

「何してるんですか」

「あ、ミキちゃん。ミキちゃんもギュってする?」

「ぼ、僕はいいです! あと、ミキちゃんって呼ばないでください!」

顔真っ赤にして怒っちゃって。恥ずかしいのかな? 昔はあんなに可愛かったのに。今も可愛いけどさ。
ミキちゃんはまだ赤い顔をして自分の定位置に座った。昔からこの子はおれの前に座っている。綺麗な顔が見られて幸せ。ちなみに、今日は一年コンビはおれの両隣だ。たまに左門だったりもんじ先輩だったりする。

「お前ら早いな」

もんじ先輩だ!
左門を小脇に抱えてる。きっと来る途中で見つけたんだろう。左門はすぐにいなくなるからちゃんと捕まえておかないといけないからね。

「早いでしょう! 褒めてください!」

さぁ!と頭を差し出すと、もんじ先輩はペシッとその頭を叩いた。痛い……。頭をさすると一年生二人が大丈夫ですか?と心配してくれた。本当に優しい子たちで先輩は嬉しいなぁ。

「早く来るのは年長者として当然だ」

「ちぇー」

「先輩、僕が褒めてあげますよ!」

ふざけてぷうっと頬を膨らましたら、左門が頭を撫でてくれた。すごく嬉しいけど、叩かれたところを的確に撫でてくるので少し痛いかな。

「ありがとう、左門」

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