座学は苦手です
おれ達は急いで教室へ走った。

「間に合った! お前ら早くしろ!」

 一番に着いたはっちゃんが、こっちを見て手招きする。よかった、木下先生はまだみた…い。

「おいっ、早くし「ばかもん!」痛ってぇ!! きっ、木下先生。いたんすか!」

「お前ら全員遅刻だ!」

 あ〜あ、セーフだと思ったのに。さては先生、隠れてたな。それにしても痛そうだなぁ、はっちゃん。

「何をしている、早く席につかんか!」

「「「「はーい」」」」

そんなこんなで、やっと授業は始まった。

     ***

「……忍者は……であるからして、……」
 
「……んん、そんなに食べられないよぉ……」

ゴーン、ゴーン、ゴーン。

「……今日の授業はここまで!」

 おい、春。
はっちゃんがおれを呼ぶ。
う〜、もう終わったんだ。ゆっさゆっさと体を揺さぶられる。そんなにやったら酔っちゃうよ、はっちゃん。
どうも座学の授業は眠くなるんだよなぁ。なんでだろう、受ける気はあるのに気がついたら眠っていた、なんてことはいつもだ。

「三郎、今やったとこ後で教えて〜」

「おー、わかった」

三郎には毎回お世話になっています。いや〜、本当に申し訳ない。

「あ、春。次はい組と合同で剣の稽古だって。よかったね」

「え、やった! 教えてくれてありがとう雷蔵!」

高鳴る胸の鼓動を抑えられない。何を隠そう、おれは剣術が得意なのだ。しかも勘ちゃん達とできるなんて。座学がダメな分、実技で挽回しないと。

「はっちゃ〜ん、おれ先に行ってるね!」

おれは待ちきれずに、道場へ向かった。
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