ドブ川で漂っているビニール袋と目が合った。
 水面とも水中とも捉えることが出来るそこで薄緑色に浸かっている。
「やぁお嬢さん」
「あらビニール袋さん」
「私は貴方が羨ましい」
「そう?」
「ええ、とても」
 クラクションが一つ鳴った。
 それに合わせて、私は一つ息を吸った。
 排気ガスと酸性雨に洗われた空気。
 ビニール袋はぼんやりと薄緑色の中に浮かんでいた。





一瞬
110418




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