きっとりんごちゃんの頭の中はお菓子の国になっている。そこはあまい香りで満ちて、りんごちゃんは大きな目を輝かせて砂糖をまぶした数式にフォークを突き刺す。複雑な数式に恍惚とした表情を見せるあたりがりんごちゃんのヘンなところだね。
 作ったケーキを持って遊びに来てみたら、この通り幸せそうに頬張ってくれるからきっと君は将来素敵なお嫁さんになれるだろうな。君のお菓子の国に将来の旦那さんなんていないんだろうけど。ウェディングドレスに身を包んだ君の横顔はきっと綺麗だから、大きなケーキの一番上に乗せてあげよう。大丈夫、砂糖細工の作り方なんてすぐに覚えるよ。そのときの笑顔はたった今ケーキを頬張る笑顔よりも幸せそうなのかな、そうだったら嬉しい、な。君の好きなものはなんでも知ってるから、君が食べたいものならケーキだって砂糖細工だってなんだって、僕がいつでもいくらでも作ってあげる。
 ほら、たっぷり乗せたクリームを一気に頬張るから、口の端に白いのが残ってるよ。ゆっくり食べればいいのに、相変わらず目の中にお星さまが見えそうなくらい夢中になって、そんなんじゃあ誰かさんに食べられちゃうから気を付けなきゃりんごちゃん、ほら、ぺろ、って……ね★





ぼくはパティシエ
140910 ささき



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