足元から伸びる青い影を見てすべてを理解したような気がした。決して驕りなどではない。すとんと事実を飲み込んだだけ。 「なにを見てるの?」 もうひとつ青い影が隣に並んで声を発した。 「影だよ」 「そう」 隣の影が僕の影を追い抜いていく。通り過ぎた白いスニーカー。 「ねえ、わかったよ」 「なにが?」 「なにもかも」 顔を上げればそこにあるのは影がひとつだけ。秋風が僕の足元をさらっていく。 青い影 121030