今日も満月が昇る。でろでろとした黄色のまんまるは、今日も昨日も明日もこの街を照らす。

 俺は口から紫色を吐き出す。煙のような紫色はゆっくりと広がって俺の顔に貼り付く。街で出会った友人はこう言った。「やあ、調子はどうだい? 顔色は随分良くなったね」彼の顔は真っ青だ。

「ブランド物の新作よ、綺麗な色でしょう?」
 女が深緑色の口紅を塗りたくる。深緑色の間から覗いた若草色の舌が這いずり回って、彼女は蛍光オレンジの言葉を吐いた。

 茶色の空に白いピストルで穴を開けた。
 射し込む光はきっと黒い。





色盲
111221



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