これは夢だと、すぐに気付いた。
梅雨が明けたばかりの、不気味なほどに青い空。
横たわる線路。
線路沿いの細い道。
有刺鉄線が這う柵の足元に咲く、季節外れの彼岸花。
その毒々しい色を見て、これが夢だと気付いた。
電話が鳴る。
僕はそこにあった黒電話の受話器を取る。
ほら、こんなところにこんな電話、あるはずがない。
「もしもし?」
「……」
「どちら様ですか?」
「……、……」
「何の御用ですか?」
「……さ…」
「もしもし?」
「……」
「君は何が言いたいの?」
「 」
僕は電話を切った。
これは夢だ。
これは、夢だ。
なぁ。
空が青いよ。青い。
彼岸花が赤いよ。赤い。
吐き気がするほど綺麗なコントラストが、脳裏に焼きついて離れない。
遠くで甲高い音が聞こえる。
それとほら、もう一つ。
腹の底に響くような、低い振動。
なぁ、
これは夢だ。
ドップラー効果で消えていく赤い音。
これは夢だろ?
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イメージ元はアジカンの「ラストシーン」です。
こういうのを二次創作って言うんですかね。