昨夜は蒸し暑くてなかなか寝付けなかったので、久し振りにあまり好きではない冷房を入れた。一時間だけタイマーをセットして、電源の落ちる音を聞いた覚えが無いからその間に寝たのだろう。

 湿気で目が覚めると外は豪雨だった。
 ベッドから手を伸ばして扇風機の電源を入れる。そういえば大きい台風が近づいてきていると、誰かが言っていたような気もする。雨は容赦なく窓に叩きつけられていて、ああしばらく窓拭きをしないで済みそうだ、とぼんやり考えた。
 部屋は昨夜の冷気が少し残っていたのか、はたまた雨のせいで冷やされていたのか、扇風機を回すだけで大分湿気の鬱陶しさは緩和されている。雨は相変わらずザアアアアと降っている。

 窓ガラスに手を伸ばした。触れるとそれは予想以上に冷たくて、手のひらの熱をじわりじわりと奪っていった。その緩やかな感触が部屋の空気と相まってきもちわるい、と思った。
 少し外の景色を眺めていると雨脚が弱まってきた。ふと窓ガラスに視線を移せば、それは酷く汚れていた。
 扇風機の風がきもちわるいな、と思った。





室温
110719




×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -