「王逆ー!昼飯食おうぜ!」
「あー。悪ぃ。勝手に食っててくれ」
教室を抜け出した名無しの姿を見て後を追おうとすれば、いつも一緒にメシを食ってる阿部たちに声をかけられた。あいつすげぇ疲れた顔して出てったけど、大丈夫か?名無しを追って教室を出ようとすれば、他のクラスの女共が教室にわらわらやってきやがった・・・・たしかこいつらさっきも教室にきて名無しに色々話しかけてやがったな。そういや、名無しが『戦闘が起きる前に人間に殺される』って言ったが、もしかしてこいつらのことか?大して戦闘力があるようには見えねぇが、アサシンの素質があるやつかもしれねぇし。油断はできねぇな。ちっ!こいつらさえいなければ、名無しと普通に話せるっつーのに・・・・あー!うっとおしいな!!
ダンっ!!
「てめぇらいい加減にしろよ!あいつに何かしやがったら俺がぶっとばすぞ!」
我慢の限界を迎えた俺は教室の壁を殴りつけて目の前の女共に怒鳴った。女共は壁を叩いた音に驚いて一瞬固まっていたが、俺の怒鳴り声を聞いて悲鳴を上げながら自分の教室へと戻っていった。壁を見れば盛大にヒビが入っていたが、そんなこと気にしてる場合じゃねぇ。早く名無しを探さねぇと。
学校の端から端まで部屋の中一つ一つ見てみたが名無しの姿はどこにもなかった。
「あいつどこ行ったんだよ。あーめんどくせぇな。」
ついには外まで探しに来たが、どこを探しても名無しの姿は見つからなかった
「おー。いたいた王逆ー!!」
「あ?なんだよ」
突然現れて俺に駆け寄って来た阿部たちに舌打ちをして睨みつけた。なんだっつーんだよ。しつけぇな。
「まー、待て待て!落ち着け!」
阿部たちが来た方角とは違う方向に体を向ければ追いついた阿部に肩を掴まれた。
「俺は今忙しいんだよ!用があるなら後にしろ」
「王逆!もう大丈夫だぞ!クラスの女子には俺から上手いこと言っておいたからな!」
「は?お前一体何言いやがったんだよ」
こいつが何かするとろくなことが起きねぇのは十分わかってる。眉間に皺を寄せて阿部を再度睨みつけたが、阿部はいつものお調子者顔で俺の肩に腕を回してきた。
「とりあえず、お前は名無さんに危害が加わらないようにしたいんだろ?」
「あぁ。あいつがそのこと心配してるからな」
名無しが何故かあのアサシン素質があるらしい女共からの襲撃を恐れてるせいで、こんな状況になってるから、それがなくならねぇ限りは何もかわらねぇ。さっき一喝してやったが、何せ相手はアサシンだ。油断ならねぇ。
「だから、俺がちゃーんと危害が加わらないようにお前が堂々と名無さんと話せるようにしてやったんだよ」
「ほんとか?!」
「あぁ!まじだ!」
俺は思わず阿部の両肩を掴んで横にいる星川と安居を見れば2人もうんうんと頷いていた。
「阿部!お前やるじゃねぇか!」
何したかは知らねぇが、とりあえず名無しとは話せるようになりそうだ。と阿部の背中を思い切り叩けば咳き込みながら前に倒れた。早くこのことを名無しに知らせねぇと。
「じゃ、俺はあいつ探してくるから」
さっさと阿部たち別れを告げて名無しを探しに行こうとすれば、横の非常階段から人が降りてくる音が聞えてきた。
「お、女子だったらいいなー」
「は?なんでだよ」
「わかんねぇのか?ここの階段格子状になってるから、女子が通るとパンツ見えるんだよ」
「くっだらねぇ・・・・」
「ラッキースケベは健全な男子高校生にとって重要だっつーの!お、きたきた」
「はー・・・・俺は先に行くぞ」
非常階段をにやにやした顔で見上げてる阿部たちを置いて俺はその場をさっさと去ろうとすれば、誰かを確認するために少し遠く離れた星川が「あっ」と驚いた声をあげた。どうせ女だったってところだろう。鼻の下を伸ばして今か今かと待ち構えてるあいつらもあいつらだが、こんな所を無防備に通る女も悪いだろ。どっちにしろ俺には関係ねぇ「名無さんだ」
「は?!」
星川の発言に驚いて俺は今まさに向かおうとしていた方向から足を戻した。なんだってこんなところにいんだよ!しかもよりにもよってこんなクソ男共がいる時なんかに!
「嘘!マジかよ!ラッキー!!」
「見てんじゃねぇ!!」
「ぎゃっ!!」「うっ!!」「ぐふっ!!」
名無しが来るのを今か今かと待ち構えていた3人を瞬時に蹴りと拳で地面に倒した。
こんなクソ共になんて見られてたまるかよ!
「ん?あれ。王逆くん?・・・・・と阿部くんたち・・・?!な、なんで、阿部くんたち倒れてるの?!」
「あー気にすんな!それより、やっと見つけた!」
階段から降りてきた名無しは地面に倒れている阿部たちを見て驚いた顔をしたが、俺はすぐに名無しの手を掴んだ。
「えっ?」
「ずっとお前のこと探してた」
「あ、ごめん・・・・」
「こんなとこにいたんだな」
「うん・・・・・。あの教室じゃゆっくりできないから・・・・・」
苦笑いをしてる名無しを見てさっき疲れた顔をして教室を出て行ったのを思い出した。
「もう大丈夫だ!お前には危害が加わらねぇようにしたから!」
「えっ!何したの!!」
「あー。気にすんな!お前が心配するようなことはしてねぇ」
・・・・はずだ。
朝みたいに怒り出しそうな顔をした名無しから目をそらしながら大丈夫だと伝えれば、名無しは怪訝そうな顔で俺を見た
「ほ、ほんとに?」
「あー。ほんとだ。・・・・てか、お前、随分でけぇ弁当食ってんだな」
「あっ、これは違うの!!気にしないで!!」
名無しが手に持っているでけぇ弁当箱を見れば、何故か慌てて後ろに隠された。
こいつこんなに大食いだったか?それとも、今の名無しは大食いなのか?
「ん?」
「あ、あの・・・・・朝、王逆くんにあんなこと言っておいて、こんなことするなんておかしいんだけど・・・・。昨日のお礼に王逆くんにお弁当作ってきてて・・・・・あ、やっぱり何でもない!忘れて!!」
「・・・・それ、俺にくれんのか?」
俺はこの場から急いで立ち去ろうと慌ててる名無しを引き寄せて引き止めた。
「う、うん。大したものは入ってないんだけど・・・・・部活終わりにでも食べて!」
俺から逃げられねぇとわかったのか、なんとか話を終わらせようとする名無しの手を強く握り締めた。俺から逃げるな。俺から目をそらすな。
「今食いてぇ!」
「えっ?!」
「俺は、今この弁当が食いてぇ!」
「え、でも、人に見られたら・・・・」
「別にいいじゃねぇかよ。周りがどう思おうが俺はお前と一緒にいてぇ!」
「王逆くん・・・・・」
「ほら、そこ空いてるから座れ」
木陰にあるベンチを指さして座るように促せば名無しはしぶしぶベンチに座った。
そんなに周りが気になるのかよ・・・・・他の奴なんて関係ねぇんだからほっときゃいいだろ。思わずため息をつきそうになるのを我慢して弁当の蓋を開けた。
「おー!なんかすげぇ豪華だな。わ、和食・・・・か・・・・」
弁当箱の中は店で売ってる弁当なんかよりもずっと豪勢だったが、中身が和食一色なのを見て思わず持っていた箸を止めた。生前和食を食べる機会がほとんどなかったせいか、母親の料理が下手だったせいかわからねぇが、和食は苦手だ。メシを買う時も手に取ることなんて絶対ないぐらい縁遠い食いもんになっていた。それが今目の前一杯に広がっているこの光景に息が詰まりそうになった。
「家にあった余りもので作ったものばかりだけど口に合えばいいな。これは筑前煮でこれは出し巻き卵、これはひじきの和え物で、これは白身魚のフライ、ご飯は炊き込みご飯だよ」
「あ・・・・あぁ・・・・いただきます」
「どうぞ、召し上がれ」
横で俺が食うのを待っている名無しを見て、今更食えねぇとは言えねぇ・・・・・と変な緊張感が走る中、意を決して箸で筑前煮を掴んで口に放り込んだ。
一回だけ噛んであとは丸呑みすりゃ何ともねぇはずだ、よし!・・・・・・・ん?
「・・・・・うめぇ」
「ほんと?!嬉しい!お味噌汁も作ってきたの。はい。どうぞ」
俺の言葉が嬉しかったのか名無しは笑顔でボトルを取り出して蓋に注いだ味噌汁を俺に渡した。
「っ!!これもうめぇ!!」
「よかった・・・」
「名無し!俺これ毎日食いてぇ!!」
「こんなのでよければ、お弁当作ってくるよ。こんな感じで人がいない所でしか一緒には食べれないけど」
「お前がその方がいいっていうならそれでもかまわねぇよ」
「ありがとう」
今日初めて見る名無しの笑顔に俺も嬉しくなって表情が崩れた。
お前と一緒にいると俺はこんなにも簡単に笑うことが出来んだな。
「あー。悪ぃ。勝手に食っててくれ」
教室を抜け出した名無しの姿を見て後を追おうとすれば、いつも一緒にメシを食ってる阿部たちに声をかけられた。あいつすげぇ疲れた顔して出てったけど、大丈夫か?名無しを追って教室を出ようとすれば、他のクラスの女共が教室にわらわらやってきやがった・・・・たしかこいつらさっきも教室にきて名無しに色々話しかけてやがったな。そういや、名無しが『戦闘が起きる前に人間に殺される』って言ったが、もしかしてこいつらのことか?大して戦闘力があるようには見えねぇが、アサシンの素質があるやつかもしれねぇし。油断はできねぇな。ちっ!こいつらさえいなければ、名無しと普通に話せるっつーのに・・・・あー!うっとおしいな!!
ダンっ!!
「てめぇらいい加減にしろよ!あいつに何かしやがったら俺がぶっとばすぞ!」
我慢の限界を迎えた俺は教室の壁を殴りつけて目の前の女共に怒鳴った。女共は壁を叩いた音に驚いて一瞬固まっていたが、俺の怒鳴り声を聞いて悲鳴を上げながら自分の教室へと戻っていった。壁を見れば盛大にヒビが入っていたが、そんなこと気にしてる場合じゃねぇ。早く名無しを探さねぇと。
学校の端から端まで部屋の中一つ一つ見てみたが名無しの姿はどこにもなかった。
「あいつどこ行ったんだよ。あーめんどくせぇな。」
ついには外まで探しに来たが、どこを探しても名無しの姿は見つからなかった
「おー。いたいた王逆ー!!」
「あ?なんだよ」
突然現れて俺に駆け寄って来た阿部たちに舌打ちをして睨みつけた。なんだっつーんだよ。しつけぇな。
「まー、待て待て!落ち着け!」
阿部たちが来た方角とは違う方向に体を向ければ追いついた阿部に肩を掴まれた。
「俺は今忙しいんだよ!用があるなら後にしろ」
「王逆!もう大丈夫だぞ!クラスの女子には俺から上手いこと言っておいたからな!」
「は?お前一体何言いやがったんだよ」
こいつが何かするとろくなことが起きねぇのは十分わかってる。眉間に皺を寄せて阿部を再度睨みつけたが、阿部はいつものお調子者顔で俺の肩に腕を回してきた。
「とりあえず、お前は名無さんに危害が加わらないようにしたいんだろ?」
「あぁ。あいつがそのこと心配してるからな」
名無しが何故かあのアサシン素質があるらしい女共からの襲撃を恐れてるせいで、こんな状況になってるから、それがなくならねぇ限りは何もかわらねぇ。さっき一喝してやったが、何せ相手はアサシンだ。油断ならねぇ。
「だから、俺がちゃーんと危害が加わらないようにお前が堂々と名無さんと話せるようにしてやったんだよ」
「ほんとか?!」
「あぁ!まじだ!」
俺は思わず阿部の両肩を掴んで横にいる星川と安居を見れば2人もうんうんと頷いていた。
「阿部!お前やるじゃねぇか!」
何したかは知らねぇが、とりあえず名無しとは話せるようになりそうだ。と阿部の背中を思い切り叩けば咳き込みながら前に倒れた。早くこのことを名無しに知らせねぇと。
「じゃ、俺はあいつ探してくるから」
さっさと阿部たち別れを告げて名無しを探しに行こうとすれば、横の非常階段から人が降りてくる音が聞えてきた。
「お、女子だったらいいなー」
「は?なんでだよ」
「わかんねぇのか?ここの階段格子状になってるから、女子が通るとパンツ見えるんだよ」
「くっだらねぇ・・・・」
「ラッキースケベは健全な男子高校生にとって重要だっつーの!お、きたきた」
「はー・・・・俺は先に行くぞ」
非常階段をにやにやした顔で見上げてる阿部たちを置いて俺はその場をさっさと去ろうとすれば、誰かを確認するために少し遠く離れた星川が「あっ」と驚いた声をあげた。どうせ女だったってところだろう。鼻の下を伸ばして今か今かと待ち構えてるあいつらもあいつらだが、こんな所を無防備に通る女も悪いだろ。どっちにしろ俺には関係ねぇ「名無さんだ」
「は?!」
星川の発言に驚いて俺は今まさに向かおうとしていた方向から足を戻した。なんだってこんなところにいんだよ!しかもよりにもよってこんなクソ男共がいる時なんかに!
「嘘!マジかよ!ラッキー!!」
「見てんじゃねぇ!!」
「ぎゃっ!!」「うっ!!」「ぐふっ!!」
名無しが来るのを今か今かと待ち構えていた3人を瞬時に蹴りと拳で地面に倒した。
こんなクソ共になんて見られてたまるかよ!
「ん?あれ。王逆くん?・・・・・と阿部くんたち・・・?!な、なんで、阿部くんたち倒れてるの?!」
「あー気にすんな!それより、やっと見つけた!」
階段から降りてきた名無しは地面に倒れている阿部たちを見て驚いた顔をしたが、俺はすぐに名無しの手を掴んだ。
「えっ?」
「ずっとお前のこと探してた」
「あ、ごめん・・・・」
「こんなとこにいたんだな」
「うん・・・・・。あの教室じゃゆっくりできないから・・・・・」
苦笑いをしてる名無しを見てさっき疲れた顔をして教室を出て行ったのを思い出した。
「もう大丈夫だ!お前には危害が加わらねぇようにしたから!」
「えっ!何したの!!」
「あー。気にすんな!お前が心配するようなことはしてねぇ」
・・・・はずだ。
朝みたいに怒り出しそうな顔をした名無しから目をそらしながら大丈夫だと伝えれば、名無しは怪訝そうな顔で俺を見た
「ほ、ほんとに?」
「あー。ほんとだ。・・・・てか、お前、随分でけぇ弁当食ってんだな」
「あっ、これは違うの!!気にしないで!!」
名無しが手に持っているでけぇ弁当箱を見れば、何故か慌てて後ろに隠された。
こいつこんなに大食いだったか?それとも、今の名無しは大食いなのか?
「ん?」
「あ、あの・・・・・朝、王逆くんにあんなこと言っておいて、こんなことするなんておかしいんだけど・・・・。昨日のお礼に王逆くんにお弁当作ってきてて・・・・・あ、やっぱり何でもない!忘れて!!」
「・・・・それ、俺にくれんのか?」
俺はこの場から急いで立ち去ろうと慌ててる名無しを引き寄せて引き止めた。
「う、うん。大したものは入ってないんだけど・・・・・部活終わりにでも食べて!」
俺から逃げられねぇとわかったのか、なんとか話を終わらせようとする名無しの手を強く握り締めた。俺から逃げるな。俺から目をそらすな。
「今食いてぇ!」
「えっ?!」
「俺は、今この弁当が食いてぇ!」
「え、でも、人に見られたら・・・・」
「別にいいじゃねぇかよ。周りがどう思おうが俺はお前と一緒にいてぇ!」
「王逆くん・・・・・」
「ほら、そこ空いてるから座れ」
木陰にあるベンチを指さして座るように促せば名無しはしぶしぶベンチに座った。
そんなに周りが気になるのかよ・・・・・他の奴なんて関係ねぇんだからほっときゃいいだろ。思わずため息をつきそうになるのを我慢して弁当の蓋を開けた。
「おー!なんかすげぇ豪華だな。わ、和食・・・・か・・・・」
弁当箱の中は店で売ってる弁当なんかよりもずっと豪勢だったが、中身が和食一色なのを見て思わず持っていた箸を止めた。生前和食を食べる機会がほとんどなかったせいか、母親の料理が下手だったせいかわからねぇが、和食は苦手だ。メシを買う時も手に取ることなんて絶対ないぐらい縁遠い食いもんになっていた。それが今目の前一杯に広がっているこの光景に息が詰まりそうになった。
「家にあった余りもので作ったものばかりだけど口に合えばいいな。これは筑前煮でこれは出し巻き卵、これはひじきの和え物で、これは白身魚のフライ、ご飯は炊き込みご飯だよ」
「あ・・・・あぁ・・・・いただきます」
「どうぞ、召し上がれ」
横で俺が食うのを待っている名無しを見て、今更食えねぇとは言えねぇ・・・・・と変な緊張感が走る中、意を決して箸で筑前煮を掴んで口に放り込んだ。
一回だけ噛んであとは丸呑みすりゃ何ともねぇはずだ、よし!・・・・・・・ん?
「・・・・・うめぇ」
「ほんと?!嬉しい!お味噌汁も作ってきたの。はい。どうぞ」
俺の言葉が嬉しかったのか名無しは笑顔でボトルを取り出して蓋に注いだ味噌汁を俺に渡した。
「っ!!これもうめぇ!!」
「よかった・・・」
「名無し!俺これ毎日食いてぇ!!」
「こんなのでよければ、お弁当作ってくるよ。こんな感じで人がいない所でしか一緒には食べれないけど」
「お前がその方がいいっていうならそれでもかまわねぇよ」
「ありがとう」
今日初めて見る名無しの笑顔に俺も嬉しくなって表情が崩れた。
お前と一緒にいると俺はこんなにも簡単に笑うことが出来んだな。